きまぐれ熊

ザ・スーサイド・スクワッド "極"悪党、集結のきまぐれ熊のレビュー・感想・評価

4.2
ピースメーカーを見始めたので、スピンオフ元となる本作を視聴。

スピンオフっていうか直系の続編なんだね。
無印スーサイドスクワッドとの関係は、リブートなんだか続編扱いなのかはいまいち判然としなかった。というかどっちでも行けるようにボカしてある感じかな。

評判良かった通りにクオリティ高かった。
悪人を主役として活かすっていう難題を成し遂げてる。1で見たかったのはこれや。

ハーレクインを中心にして画面に華を持たせる事を維持しつつ、面白いカメラワークも多いし、隠喩に富んだモチーフも多く、アクション映画としては飛び抜けたアクションはないのにずっと画面が面白い

ハーレクインは狂人なのに行動の一貫性があって魅力的。彼女が映るカットは画面にずっと華があって飽きさせない。でも安易なヒロイン扱いせずトリックスターにする事で他のキャラを食ってないバランス感覚のある脚本。
前作から追ってると、あー、今地雷踏んだな。ってシーンとか読めるように作ってあるしね、

ブラッドスポートの銃火器アクションはスマートでかっこいいし、ラットキャッチャーとのドラマも前作のような説教臭さがなくて、悪党なのに素直に共感出来るもの。

メインキャラ以外はバッサバッサ使い捨てるんだけど、ブラックユーモアと画面の面白さで納得できる温度感だし。

全編通してアンモラルなんだけど、因果応報だけは綺麗に貫かれているのでモヤモヤがなく楽しめる作り。キッチリ作られてる。
スターロに巻き込まれて大量に無実の市民が死にまくってるじゃん、って思うけどあれは市民革命のメタであり、実質内戦に巻き込まれて死ぬ市民の比喩なのでむしろシビアに表現されてると思う。タスクフォースがやらかすゲリラ達もギャグっぽいけどタスクフォースの所属を考えると示唆に富んでるとも取れるし。
軸に親子関係を敷いて各キャラが配置されてるのでストーリーも綺麗。
一応キャラ設定は1から引き継いでるけど、テーマは語り直しなのでリブートでもある。よってより明確に1との出来の差が明確になってる。
冒頭の出撃シークエンスがめっちゃダサいのどう考えても前作イジりだよなあw
だって中盤の本ちゃん出撃シーンはしっかりかっこいいもん。

で、ここからよりによってピースメーカーで続編作んの!?って最初は思ったけど、これみよがしに匂わせといてコイツだけ親子の確執が語られてないんだよな。
それで、ピースメーカー親子とウォラー親子に軸が移るわけね。
ピースメーカーに期待が高まったのと同時に、ドラマ「ウォラー」もかなり楽しみになってきた。
ウォラーって法に裁かれない方のヴィランって位置付けだと思ってるから、スーサイドスクワッドよりも更に描き方が難しいと思うけど、どんなストーリーを見せてくれるんだろう。

ジェームズガン作品はスーパーヒーローものしか見てないけど、ずーっと一貫して家族、特に確執がある親子の映画を作り続けているのが印象的で、今後のラインナップを見る限り今後も通底のテーマとして敷かれていきそうである。
それに絡めてレイシズムの批判をブラックユーモアに絡めて語るのが上手。
洞察が深いし、問題提起だけではなく一応のアンサーを出しているのが稀有で、悪ノリに見えて結構社会派な表現力も兼ね備えている印象だ。問題定義だけならやれる人は少なくないだろうけど、アンサーを提示できる監督はそうそう居ない人材だろう。
DCが欲しがったのも、ディズニーが手放せないのも納得。

ちなみにゴア描写はスプラッター映画と言っても差し支えないレベルで肉塊が弾け飛ぶので、首が飛んで「キャッキャ」って喜べるレベルじゃないとそれなりに注意が必要です。
レーティングに関してはアメリカの18禁で適切だと思う。ゲームだと絶対Z指定だよ、これ。
きまぐれ熊

きまぐれ熊