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希望のかなたのbluemomday0105のレビュー・感想・評価

希望のかなた(2017年製作の映画)
3.8
故郷を爆撃され国を出るが妹と生き別れ、辿り着いた国で難民申請を却下されたシリアの青年。これまでの生活に別れを告げて、レストランのオーナーとなる初老の男性。
境遇の全く違う2人がヘルシンキで出会い、行き場を失くした青年のために居場所を作り上げる。

アキ・カウリスマキ監督らしい、名も無き市井の人を描いた作品。素朴でどこかユーモラスでもあるけれど、現在進行中の難民問題にも触れているため、鑑賞後はいろいろと考えさせられる。

記憶に新しいシリア・アレッポの爆撃。あれだけ世界で報道された惨事なのに、亡命の理由と扱われない不条理。
あちこち国境を越えてきた経緯への問いに「簡単だった。皆。僕達のことを見たくないから」と返す青年。
難民を排斥しようとする極右と、その背景のひとつである受け入れによる弊害。難民を受け入れることで先住者の仕事がなくなる恐れもある。パリで起きたようなことが身近に起きるかもしれない。

「助けてあげたらいいじゃん!不寛容な社会許せない!」って簡単には言えない状況。
でも目の前に困ってる人がいたら助けないわけにはいかない。
それでいいと思える。
はたして希望があるのかどうかわからない終わり方だけど、観た後は「せめて外国人の店員さんに接客されたら笑顔で「ありがとう」と言おう」…と思えた。

ここに出てくるヘルシンキの人たちは、良くも悪くも日本の人と似てるなと思った。
給料支払われてないのに、お客さんが来たらちゃんと応対する真面目さとか…。
愛想はないけど親身になってくれるレストランの周りの人々に、まるで昔の日本映画のようなノスタルジー。
お寿司のシーンは笑ってしまったw
東洋系観光客にしては誰もマリメッコ持ってないやん!って思ったけど。
2年前に訪れたヘルシンキ。
でも自分が見た景色とはまた違って不思議だった(チラ見えた路面電車に懐かしさを覚えたけど)。あんな艶やかなミュージシャンがいたんだなあ。

あと、途中で出てくる犬が可愛いです!
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