小一郎

すばらしき映画音楽たちの小一郎のレビュー・感想・評価

すばらしき映画音楽たち(2016年製作の映画)
3.9
新宿シネマカリテの「カリコレ2017」での鑑賞5本目。ハリウッド名作の映画音楽にスポットを当てたドキュメンタリー。ハリウッドを代表する約40人の作曲家たちのインタビュー映像のほか、監督へのインタビューも交え、映画音楽の効果や役割を考えていく。

映画通の方々にはたまらない作品なのだろう。カリコレの中でも1、2を争う人気だったと思われ、全国公開も決定。知識欲をくすぐられるだけでなく、気分がノッてくる有名音楽のダイジェストを聞いている感じ。ドーパミンが出てきて、いい気持ちになれる。

この日、映画・音楽ジャーナリストの宇野維正氏のトークショーがあって「あの音量・音圧を感じることが、映画館で映画を観ることの一番の理由なんじゃないかと思う」と話していたけれど、同感。映画を爆音で見たときから、この効用に薄々気づき始めた。

趣味として映画を見始めた当初、目線がスクリーンの高さになるような後列の席を選んでいた。この頃は見るのに無理のない程度にできるだけ前列に座るようにしているけど、それは強い音圧を感じて、より心地よくなりたいから。

本作を見て改めて思ったのは、シーンの雰囲気は映像だけでは伝わりにくく、音や音楽の効果が凄いということ。そして名曲というのは印象に残り、劇場を出た後も口ずさみたくなるだけでなく、シーンにぴったりハマっているということ。多分、一流の作曲家たちは、観客がノレて、かつ映像に寄り添うような物語を音楽で作っている感じなのではないかと。

以前、『戦場のメリークリスマス』を劇場で見た際、トークショーで坂本龍一教授が英国と日本の映画賞で音楽賞を受賞した自らの作曲について「今の自分なら賞はあげない」と話していた。

曲を作った頃の教授は映画音楽についてのイメージがなく、しかも大島渚監督からは全く注文がなかったので、手探りで自分が考えた通りに曲を作ったという。なので自分のアルバムを作る感覚に近かった、と。

教授によれば、映像も音楽もそれぞれが独自の時間を持っているので、映画音楽というのは映像の時間に合わせないといけない、ということらしい。音楽はどんな映像にものせることはできるのだけど、それだとコピペしているみたいだ、とのこと。

その時は何のことかほとんど理解できなかったけれど、映像の物語と音楽の物語がバラバラだったという感じかしら。『戦メリ』は印象に残るテーマ曲ではあるけれど、映像にハマっているかといえば、ちょっと違うのかな?

『スター・ウォーズ』や『ロッキー』を思い起こしてみると、音楽をイメージすると映像のイメージも立ち上がってくる気がする。シリーズの新作もその音楽を聞くと、それだけでワクワクしてくる。

ということで、いろいろなワクワクを感じることのできる映画だったかな。そして、映画館で見るのが吉でしょう、やっぱり。

●物語(50%×4.0):2.00
・音楽の役割を再認識できて、参考になる。

●演技、演出(30%×3.0):0.90
・いろいろな話が聞けるのはありがたいけど、じっくり聞くにはビデオかな。

●映像、音、音楽(20%×5.0):1.00
・有名映画の音楽満載なので、聴いているだけでも楽しいと思う。