新潟の映画野郎らりほう

悪女/AKUJOの新潟の映画野郎らりほうのレビュー・感想・評価

悪女/AKUJO(2017年製作の映画)
4.0
【不死偽の國】


左右を壁面に遮られた長い狭小通路の閉塞性。一人称接写に依り歪んで映る後背景。展開/所作行動の非現実性は言わずもがな。アクションシーンのみならずドラマパートでも遠景は展望を欠き、隔絶された異世界の印象を強くする-。

THE 女殺し屋。THE 女暗殺者。-どこかで見たそれらイメージの踏襲とジャンルへの目配せ。随所監視カメラ。前述の“閉じられた狭い世界”、及び 時空から乖離したかの終極の無限(夢幻)回廊を鑑み浮かぶのはドリューゴダード「キャビン」か。

但し「キャビン」が故事付説明に陥り内輪なパロディへと堕したのに対し、本作はそれらを主題化せず作品構造/メタファーに留める。
故に世界の不可思議/異質感覚は最後迄維持される。


それは謂わば不思議の国のアリス…、否「不死偽の国のスクニ」か。




《DVD観賞》