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ハッピー・デス・デイのhorahukiのレビュー・感想・評価

ハッピー・デス・デイ(2017年製作の映画)
3.7
初日のレイトショーで見てきました!

脚本家時代にモドカシイ経験をしたランドン監督はきっと監督というものへの思いがめちゃ強かったんだと思います。『ブラッドウルフ』は大幅に書き換えられ、ランドン監督にとって満足な出来だった『ディスタービア』も悲しい結果になってしまいました。本作は『ディスタービア』の根幹を成す要素を「パクリだと非難されない」飾りで覆った、ランドン監督らしい楽しい作品でした。

とは言っても、その「覆い」を新鮮なネタではなく使い古されたネタにすることでパクリだとは言わせないというのが皮肉な感じもするし、ランドン監督的には『ディスタービア』をパクリだと批判した人たちへの嫌味なのかもしれませんね。

前半から中盤にかけては、脱出への試行錯誤をしつつループを繰り返す同種の映画の常套手段で正直かなり退屈していたのですが、主人公がある事に気付いたあたりから加速度的に面白くなっていきました。時間の牢獄をそのまま心的な過去の牢獄へと置き換え、その牢獄をぶち破ることこそが過去という呪縛からの脱出だという、表面上の設定は全く違ったものでありながらも『ディスタービア』と根底に存在するものが非常に近い作品となっていました。

殺人鬼に置き換えるのか、ループに置き換えるのかといった違いはあるにしても、その象徴するものは近いものであったのだろうし、牢獄から未来を覗くことで「変わりたい思い」を表現した『ディスタービア』に対し、本作ではループそのものが全てを物語るという、ループ設定が本来的には孕んでる要素を素直に利用することで非常にわかりやすい物語になっていると思います。そしてその部分をめちゃくちゃ明るく清々しく、そして笑いも込めて楽しく見せてくれた本作の終盤以降の満足度はめちゃ高かったです。

脚本を違うものへと変えられてしまった『ブラッドウルフ』、自身の脚本が採用されつつも不当な扱いをされた『ディスタービア』。それらの苦い思い出から脚本家ではなく監督として作品に携わりたかったであろうランドン監督が、過去を踏まえて監督なりのリベンジを果たしたのが本作なのだろうと感じました。そして「愛は愛で違いはないんだよ!」という自身への後押しをも強引に盛り込んでくるあたりも監督だからこその強い思いを感じました。そんでカーペンター愛も伝わってきました(笑)

ただ、『ゾンビーワールドへようこそ』のプロローグでのキレッキレな演出が私的にはメチャ好きだったので、そういったキレは本作からあまり感じ取れなかったのが残念でした。あと、ラスト一周はなかった方が好きかな〜。監督の人の悪さというか、好きなもん撮りたい的な思いは伝わってくるんだけど、なんかブレちゃったような気がする。中盤での笑いを誘うループの細かな編集は好きでしたけどね。

ちなみにエンドロール終わった後に、7月12日公開の続編『ハッピー・デス・デイ2U』の予告が流れますよ。もちろん見に行く予定です♫
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