八木

フラットライナーズの八木のレビュー・感想・評価

フラットライナーズ(2017年製作の映画)
2.3
 ポスター見るとホラーを頂ける感じなのに、違った。見終わると「プロモーションの方向に苦しんでたんかなあ」とその迷い自体は理解できる。ホラーと思わないで見れば楽しめるところも多かった。原作と、初代の映画化もあるようで、比較してみてみたい気もしますな。
 幽体離脱って言葉から連想されるような「一時的な死」というものを人為的に起こして、例えば「そのとき自分の姿を見下ろしていた」というありがちな体験をしてみよう、その時脳はどう動いているのか明らかにしよう、という着想自体は興味持ちました。しかし、その結果映画内からこっちが得られるものってわりとガラクタになってしまってたと思うんですよ。
 例えば「脳はこのように動いていました、よってこういう体験をすると予想できます」とはっきり示してくれたらよかったんですけど、メインとなる「過去を追体験する」という以外に、なんかスーパーマンになったり性欲爆発したりっていう、個別にそうなってるのか全員にすべからくそうなってるのかがごちゃまぜになってる上、あんまはっきりした結論言ってくれないのよな。また、そういう話の骨になってる要素に対して、ホラー要素があんまり融和してないもんで、怖がらせが話の中で浮いてるんですよ。だから、興味を持続できなかったですね。
 特に、コートニーが臨死体験後に変わったことを見て、登場人物たちに「臨死体験すると私はこのようになったよ」とコートニーの言葉で騙すパートがないんですよ。その後の人たちもそうなんだけど。臨死のメリットがよくわからんのに、我も我もとなる心理状態がよくわからん。レイがこのグループにジョインするのも唐突に見えるよね。知的好奇心なのか、ロマンス要素なのか。結構適当に流れ作ってるように見えた。
 そして、この話が唐突に宗教的な要素を帯びて収束していくんですけど、僕は正直この構成自体はそんなに嫌いじゃなかったんですよ。ただ、ソフィアの決着はさすがに適当すぎるやんか。小学生が校長室に呼び出されて、「A君、B君をいじめたらしいね!謝りなさい!」「サーセン」「B君いいね!」「はい…」「じゃあ握手、これで終わり!」っていう流れがあったとして、どう思いますかね。意味ありますかね。
 人為的な臨死の場面とか、結構楽しかったし、興味も湧いたんですけどね。ちょっと残念な映画だったような気がします。
八木

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