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トップガン マーヴェリックのFilmojaのレビュー・感想・評価

5.0
あのマーヴェリックが、帰ってきた―――

映画、音楽ともに80's娯楽大作を象徴する名作となった前作から36年、リアルタイム世代ではないけれど、あのギター・アンセムが流れる冒頭からのオマージュ・シーンに、胸が震えるような感動を覚える往年のファンも多いのでは…?

たぎる血潮、たかぶる情熱、手に汗にぎるドッグファイト…当時の熱狂を再び今によみがえらせ、なおかつ昨今のシビアな世界情勢にも目を向けた、これ以上は望むべくもない完璧な続編!

テクノロジーの発達による現代の軍事技術において、ドローン兵器や無人機の開発に伴い、時代遅れになりつつある戦闘機パイロットたちの栄光とロマン、挫折と再起、献身と矜恃、そして新旧の熱き友情…。
スター俳優トム・クルーズの衰え知らずな才気と気迫あふれる演技に魅了され、まさにトップ・オブ・トップ、ベスト・オブ・ベストの誇りをかける、これぞ劇場で観るべき娯楽大作!

ドラマパートのエモーショナルな顔アップ、絵に描いたような定番の展開、往年のライバルと亡き友人への想い、ビーチでのアメフト、吹きこぼすコーヒー…クスッと笑えて分かりやすい人物描写と、前作を意識した切なくもノスタルジックな演出も、トムがいつも通りの目つきで演じると不思議とキマってしまうのが、逆に超絶クールに見えるという凄み。

「ミッション・インポッシブル」を彷彿とさせる不可能ミッションと、それに伴う若手パイロットたちとの訓練飛行、アイスマンとの邂逅や親友グースの息子との確執、再燃するペニー(司令官の娘!?)への恋心など、もちろん前作ありきの物語ながら、誰もが満足する万人受けするようなてんこ盛りお腹いっぱい展開でも胸やけせず、ただの懐古趣味にならないバランス感覚は秀逸だ。

敵国ははっきりとは明示されず、政治的要素は意図的に排除され、あくまでチームとその周辺のトムとの人間ドラマに集中。
空中戦では飛行機乗りたちの熱き魂がぶつかり合い、IMAX映像のあまりの臨場感に思わずのけぞり、まるで擬似重力加速度、略して擬Gを体感するような錯覚に陥る圧倒的映像体験!

もうすぐ還暦を迎えるとは信じがたいトムの若々しさと、旧型戦闘機F-14トムキャットがリンクして、まだまだ“時代遅れの遺物”とは思わせない躍動ぶり。
「考えるな、観ろ!」と言わんばかりのスクリーン映えに感服し、こちらにも若き日の情熱を思い出させてくれる。 

お約束な展開でも鑑賞後は心地よい疲労感に包まれ、いつの間にか爽やかな涙がこぼれ、思わず拍手喝采を贈りたくなる。
クラシックな風格をまといつつも、映画というエンタメの粋が凝縮された、実写にこだわった純粋なアクション大作という意味では、近年でも決定版と言える大傑作!
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