八木

ハットンガーデン・ジョブの八木のレビュー・感想・評価

ハットンガーデン・ジョブ(2017年製作の映画)
2.2
 ガイ・リッチー、お好きなんですね。僕はそうでもありません。

 しかしこの映画を通して見てみると、ガイ・リッチーの映像に合わせてドンツクいってるMV的演出技法が、いかに職人芸の域に達しているかということと、これは好き嫌いで判断するのみな領域なんだなあということが相対的にわかります。
 実話を元にしてるんだかどうだかよくわかりませんが、犯罪からの計画、準備、遂行、トラブルにおいて「BGMに流されてもよい適当な軽さ」がまったく備わってないことが面白くなさの大きな要因になっていると思いました。
 おじさん4人と青年1人のチーム犯罪映画なんだったら、「先にある成功の安心感」に任せて、もっとなかった部分をあった風に見せる必要とかあると思うんですよ。
 たとえば、5人にチーム感がほぼないのって、この映画の面白くなさの結構でかい要因になってると思う。実話的に急場で雇ったのだとしたら、どいつがどのようにプロフェッショナルで、どのパートでどのように仕事をして、ってのを丁寧に見せていかないと話でどんな役割なんだかぜんぜんわからん。そもそも興味も薄いってのに。「力仕事だったらあいつだ」って登場してきたおじさんが、力仕事に向いているエピソードが弱ければ実際力仕事で活躍するシーンもすげえ少なくて、そんなんだからブライアンの体調不良も山場のための山場っぽくて興味を持続できなかった。
 一回途中で強奪を投げ出したくだりも「なんかバレてないから続きやろうぜ」じゃないんだよ。実際そうだったかどうかじゃなくて、ご都合主義に見えた部分こそ見せ方の工夫が必要なんじゃないんでしょうか。

 てことで、リアム・ギャラガーの歌が聞こえてちょっとうれしいだけの映画となっておりました。ゲオで前面に並んでいただけで借りるもんじゃないですね。
八木

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