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007/ノー・タイム・トゥ・ダイのbackpackerのレビュー・感想・評価

3.0
ラミ・マレック演じるサフィン、こいつ、何がしたかったのかしら……?


ダニエル・クレイグ版007の最終作。
一匹狼の無頼漢という感じの中年イケオジ路線を歩むジェームズ・ボンドが行きついた果て。それが「昔別れた女が、自分の子を一人育ててたうえに、包容力で受け入れてくれた。俺も遊び歩くのは辞めて、子どもの為に頑張るゼ!!」なんて場所に落ち着くなんて……。
古来より、"ボンドは男の憧れ"と表現、というかもはや揶揄されているとおり、男の願望や欲望の表象のように描かれてきているわけですが、ある意味古典的な着地点になってしまったなぁ……と、ちょっとガッカリ。
あんた、アイアンな社長さんじゃないんだから。「娘のためならえ~んやこ~ら」は、ボンドじゃなくてもよくないかね。

アクションは面白いんですが、年齢的限界なのか、銃撃アクションに比重を置いて、肉弾格闘は随分控えめ。クレイグ版1作目『007/カジノ・ロワイヤル』の長いパルクール追いかけっこは、とてもじゃないが今の年齢ではできないと思いますが、やっぱりアクション物足りないなぁ。


また、前作『スペクター』がクレイグボンドの最終作と銘打たれていたにも関わらず、またも続編が作られてしまうこの哀れさ。
何回も「これで終わり」詐欺を繰り出されてしまい嫌気がさしていた身としては、クレイグ本人が「もういい加減にしてくれよ!」という思いを前面に出していた(『スカイフォール』くらいからこれで最後って言ってましたもんね)現実も踏まえ、死亡エンド(と思われる終わり方)で強制終了しなくてはボンドの呪縛から解放することができなかったというのは、極めて可哀想です。
主人公の活躍をいつまでも見たいなら、トム・クルーズのミッション・インポッシブルシリーズを見ときゃいいじゃないですか。なんだかなぁ。


何はともあれ、これでホントにクレイグボンドは終わりらしいので、ホッとしたというのが本音です。
これからは、クレイグボンドによる007という古典シリーズ再構築の結果を踏まえ、今後シリーズを続けていく必要性やその意味について反省と検討を重ねたうえで、次に進むべきであると思います。もし新しく作るにしても、最低10年程度は間を開けてほしいところですが、果たしてどうなることやら……。
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