emi

友罪のemiのネタバレレビュー・内容・結末

友罪(2017年製作の映画)
3.3

このレビューはネタバレを含みます


工場の試用作業員として同期入社した益田と鈴木。前職は記者で工務に不慣れな益田に比べ、有資格者である鈴木は仕事に問題はないが、人間関係を築くのは得意でないらしく敵を多く作っていた。
同じ寮で暮らすうちに2人は仲を深めていくが、益田は鈴木の過去に疑念を抱き始める。


一度罪を犯したら一生幸せになってはいけませんか?あなたは少年Aと友達になれますか?付き合えますか?後からそうと知ったらどうしますか?
そんな疑問を投げかけてくる作品。

実際の事件をモデルに…といっても、正直フレーバーだと思う。鈴木は確かに少年Aだけど、益田視点で話は進むしなぁ…。


「分からないけど、生きててほしい」
益田の最後のセリフがこの作品の答えで、それはそれでひとつの形として良いと思った。


しかし益田と鈴木が友達になる過程をもっと繊細に描写してくれていたらと思う。
2人の関係性は過去を共有しないまま、他の登場人物の話に逸れながら進んでいくため、少し説得力に欠けた印象。

前半は特に登場人物が多く混乱する。
全ての人間がそれぞれ問題を抱えている。どう関係してくるのかと考えながら観る人が殆どだと思うが、徐々にこれらはそれぞれ独立した話なのだと理解できる。(オムニバス状態になっている。)

益田と鈴木の関係性以外に益田の元カノ、過去に自殺した友達、その親。そして鈴木の担当刑務官とその娘、鈴木が助けた女性美代子、その元カレ。更に主軸とはほぼ無関係な息子が自動車事故で複数の子供を奪った山内、そして山内の元妻に息子の婚約者に…って

原作未読なので元がどうかはわからないが、担当刑務官と娘の関係性に至っては特に曖昧だった。映像化にあたってもう少しシンプルにしてもよかったのではと思う。


それにしても胸糞の悪さが先行する。
ゲス人間コンテストか。

すごい興味津々で鈴木のことや益田の過去を訊いてくる益田の元カノに至っては、自分だけは清廉潔白みたいな発言をしつつやってることがゲスい。(てか益田もこういう奴って分かってて別れたなら、何故鈴木のこと話した…。)
散々独善的に批判したり正当化したりした挙句、益田の独白ブログ読んで泣いてるのも情緒よくわからん。

自分で写真盗んで記事にしといて編集長に殴りかかる益田を「気に入らなかったらまた同じこと繰り返すの?」とか責めてくるシーンはマジやべえ。

寮の民、ありがとうとごめんなさいちゃんと言えるのにゲスいし。(寧ろなんなんだ)

美代子の元カレもゲスすぎて。てかインターホンの録画ボタン押してさっさと警察に持って行ってくれ…と思ったら完全にバケモンにはバケモンぶつけんだよが始まってどうしようかと思ったわけだけど。

鈴木はむしろ情緒は最初から壊れてるけど誰も責めず比較的真っ当に暮らしている。
私には瑛太の演技が上手いのかどうか分からない。勿論迫真だけど…本当に少年Aってこんなかな?って。実はもっと普通に思えるほど紙一重の違いだったりするのではないかな。

結局反省してるのか、更正したかなんて分からないよな。最後に鈴木は事件現場で追体験したりするけど、彼自身在り方がわかっていないようだし。

過去と現在は繋がってるから、実際は償える罪なんてそうそうないんじゃないかとも思う。益田みたいに分かんないけど側にいる人、あれだけ鈴木に助けてもらっても過去を知って姿を消す美代子みたいな人、色々だよね。

悪い作品ではない
けど好きになれる作品ではなかった。
emi

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