ひらまさ

タクシー運転⼿ 〜約束は海を越えて〜のひらまさのネタバレレビュー・内容・結末

4.5

このレビューはネタバレを含みます

ジャケットの明るさとは裏腹に、内にとてつもなく重い歴史を描いた作品。

今わたしが生きている国で、わたしが知らないところで統制され、苦しんでる人が居るのだろうか。
実際の事件を元に作られたノンフィクションなだけに、こんなことがあったのかとすごく勉強になった。恥ずかしながら、光州事件については無知で…。
惨いシーンもたくさんあったが、こんなことをされていた市民たちの気持ちを考えると胸が痛くなった。
夢を持った若者たちの命が散っていくのはどんな映画を見ても痛い…。
最後のタクシー運転手たちによるカーチェイスも絆を感じた。「光州の人達はみんな優しい」という序盤のセリフの通りだった。

最初、デモを忌々しく思っていた主人公が光州で起きていることを目の当たりにしてギャラ目当てだった仕事よりも使命感で光州市民とともに行動するようになる感情の変化がとても美しかった。
目を背けたくなるほどの惨状を前にして、命を懸けられるほどの器量が私にはあるんだろうか…。
途中、記者がジェシクの死を目の前にしてカメラを持てなかったところを『全て撮ってくれ』と背中を押したところも感動的だった。
現実から目を背けたいほどの辛さを抱えて、これをなんとしても報道しなければいけないという記者の熱さが伝わった。

ネット上でも正しい情報がどこにあるか分からない世の中だけど、この映画が表現規制を掛けられずにこうして世に出ていることに感謝。
明るい今を築くためにわたしたちは生き抜かないとな、と思った。
ひらまさ

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