こうん

デス・ウィッシュのこうんのレビュー・感想・評価

デス・ウィッシュ(2017年製作の映画)
4.2
イーライ・ロスという人は、ちょいと過激な作風だから誤解されがちかもしれないけど、至極まっとうな考え方の持ち主で、また一方で至極まっとうな映画話法の持ち主でもある、ということを改めて実感しました、「デス・ウィッシュ」!
日比谷の日曜の朝イチの回で観た血なまぐさいビジランテ映画ですけど、思いのほかニッコニコで映画館を出てきましたよ。
「狼よさらば」の原作の再映画化ですけど、現代的にブラッシュアップかつ改変をしたプロットに加えて、丁寧な語りの中にユーモアや諷刺などを差し込む手腕は心地よいし、イーライ・ロス節というか、ゴア描写や悪趣味描写も手抜きなし(階段から落ちた敵が頭蓋破壊で絶命する描写がグッド)だし、ブルース・ウィリスという役者を存分に生かした作劇もタマランものがありましたね。たまたま入手したグロックを手術着に差し込む手つきなんか素人のそれじゃないよ(笑)。
今なぜこの映画をリメイクするのか?という企画の必然性にもしっかりしたテーマをもって作られているし、この映画にまつわる批判や論争も織り込み済みであるような全方向的なモラルや銃大国アメリカへの冷静な視点も織り込まれていて、しかもきっちり娯楽作にもなっている、とても頼もしい映画であることですよ!

銃の規制はもちろん必要だと思うけど、力なき正義は無力でもある…という現実もまたあるわけで、どちらともいえない苦み(しかし爽快な苦み)を与えてくれる快作じゃないですかね!

あのおねーさんに銃勧められたら買っちゃうかもなーだけど、グアムの射撃場の前まで行って本物の銃声にビビッて退散したのは私です。
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