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追われる男のFilmomoのレビュー・感想・評価

追われる男(1954年製作の映画)
4.0
①赤狩りの影響下でニコラス・レイ監督が撮った『大砂塵』(54)の次の作品『追われる男』も赤狩りの影響を受けている。ジェームズ・キャグニーは無実の罪を着せられ牢獄に入っていた。さらに新天地を求めてやって来た町でも強盗と間違えられ、裁判もなく縛り首に遭いかける。疑いが晴れて町民から保安官を任されるが、キャグニーがかつて収監されていた時に同じ牢にいた男が強盗団の一味と分かるや、「犯人と通じているのではないか」とまた疑われる。②キャグニーは失った息子と同じくらいの年のジョン・デレクを気に入り、怪我の看病をし、叱咤激励をして強く育てる。しかしその恩を受けながら、デレクはキャグニーを裏切る。「疑惑」と「裏切り」が全編を覆いながらも、キャグニーは堂々と振る舞い、悪党に奪われた町の財産を取り戻そうと命を張る。③どんな目に遭っても一生懸命生きろ、人の為に尽くせという分かりやすいメッセージ性がひしひしと伝わってくるわけだが、キャグニー自身は本作でカットされたディテールに素晴らしさがあると考えて不満だったようだ。しかし、人々の暮らしの緻密な描写はキャグニーが不満に思うほどのものではないと思う。アーネスト・ボーグナインが『大砂塵』に続いて悪役で起用されている。
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