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殺人者の記憶法のNoAceJustYouのネタバレレビュー・内容・結末

殺人者の記憶法(2017年製作の映画)
3.9

このレビューはネタバレを含みます

2023/10/09鑑賞。78点。
最後の最後に【メメント】をやったせいで一気にガタ落ちしたけど、それでも良作。

〈あらすじ・ネタバレあり〉
韓国。
高校生の1人娘・ウンヒを育てるシングルファザーのビョンスには秘密がある。
それは、自身が高校生だった1971年に家庭内暴力を働く父親を殺害したこと。そしてそれ以来、何件もの殺人に手を染めるようになったということ。
ー"存在価値のないクズ"を殺すことは殺人ではなく掃除ー
ビョンスは一貫して悪党だけを殺害し続けてきた。17年前、ヨンジュという女を殺して竹林に埋めた後、車で帰宅していたところ交通事故に遭い、その事故の後遺症によって3ヶ月前認知症と診断された 。
ウンヒは、「必要なことは全て吹き込む習慣を作って」とボイスレコーダーを渡し、ビョンスは言われた通りすることに。

隣町のカンファ市では、若い女性ばかりを標的にした連続殺人事件が発生している。

ある日、気づくとビョンスは竹林にいた。家に帰ろうと車を走らせていると1台の車に追突。
車の運転手・テジュは、ビョンスに対して「事故は気にしてないし通報は不要」と言うが、ビョンスはテジュこそが一連の連続殺人事件の犯人だと直感する。

ビョンスは、テジュの車種を警察に匿名で通報するが、まともに捜査してもらえない。それもそのはず、テジュは韓国警察の巡査だから。

ビョンスは殺人の証拠を手に入れるため【自分がテジュだったらどこに遺体を埋めるか】考え、貯水池に向かう。
予想通り死体が見つかったためビョンスは再び匿名で通報。1度目の通報者と死体を見つけた者が同一人物であり、その正体がビョンスだと直感するテジュ。

ビョンスは車の衝突相手の身元照会を、自分を兄貴と慕うビョンマン警察署長に依頼する。
衝突相手が巡査のテジュだと知ったビョンスは、最近娘が付き合い始めた恋人が彼であることに気付く。
一方のテジュは、ビョンスに車で追突されたことをウンヒに明かし、ビョンスには貯水池で死体が見つかった日のアリバイがないことも話す。まずはビョンスとウンヒの心を引き離す作戦に出たのだ。

夜家に忍び込んだテジュは、ビョンスを起こして拘束すると彼のパソコンを開く。
ビョンスは自分が過去に起こした殺人やテジュを疑う旨の文章を記していた。テジュはその内容を書き換えて一連の連続殺人事件の犯人がビョンスであり、それを日記で自白しているように工作し、静かに家を去る。

家に侵入された上自分を殺人鬼に仕立てる計画があると知ったビョンスは、テジュの殺害を決意。
ウンヒの身を案じて、修道女である姉に匿ってもらう。尾行したところテジュはある空き家に入っていき、彼が出ていった後に中を探索したところビデオカメラが見つかる。
カメラにはある女性が殺害される映像が収められており、その女性はビョンスが以前からアプローチされていたものの邪険にしていた人物だった。

ビョンマン署長に映像を持って行ったビョンスだったが、女性が殺される直前にビョンスと電話で話していたことが通話履歴から判明し、逆に疑われる。
家に侵入した夜、テジュがビョンスの電話で女性にコールしていたためだ。
さらに、自分が父親を殺してすぐに姉が自殺したため【修道女の姉】など存在せず、彼女に預けたと思っていたウンヒが行方不明であることが判明する。

そしてビョンスは、記憶の奥底で封印されていた【17年前に犯した最後の殺人】の真実を思い出す。
ビョンスが17年前に殺害したヨンジュとは自身の妻で、その直前に妻の不倫相手のことも殺害していた。
ヨンジュの口から、【ウンヒが自分の娘ではなく不倫相手との間にできた子ども】だと知ったビョンスは、ウンヒのことも殺そうと車を急いで走らせて家に向かった。その途中で事故に遭い、記憶に障害が出て娘が不倫相手との子どもであることを忘れたビョンスは、彼女を殺すはずだったがそうはせず今に至るのだ。

娘を殺そうとした事実やいくつもの殺人に手を染めたことに罪悪感を抱いたビョンスは自殺を図ろうとするが、ボイスレコーダーを再生したことで思い直す。
そこにはウンヒがテジュとの結婚を諦め、父親の面倒を最期まで見たいという告白があった。
そして、テジュが家に忍び込んだ夜の音声も、偶然記録されていた。彼は自身の犯した殺人について自白しており、テジュの犯した殺人を全てビョンスが被れば、ウンヒを見逃すと。
テジュの声をビョンマン署長に電話で聞かせる。

ビョンマン署長はビョンスの話を信じ、テジュを尾行。テジュが山奥の空き家にウンヒを軟禁していることを目撃したビョンマンは忍び込むが、テジュに見つかって絞殺される。

テジュもまた、ビョンスと同じように父親の家庭内暴力がある家で育った。ビョンスと同じように暴力を振るう父親を殺害しようとしたが、母親に裏切られてアイロンで殴られて左側の頭が欠損した。彼が若い女性ばかりを標的にするのは、自分を裏切った母親に似た相手を殺すことで復讐するため。

死ぬ直前にビョンマン署長から空き家の場所を聞いていたビョンスは、テジュと死闘を繰り広げる。
例えどれだけの記憶を失っても"習慣化された殺し"は彼の中に存在し続けており、殴られ刺され続けてもビョンスは、テジュに反撃し続け勝利を収める。
ウンヒの前でテジュを惨殺したビョンスは、「昔の連続殺人は自分がやった。だがお前は私と血が繋がってない。だから本当の娘ではない、殺人鬼の娘ではない」と告白する。

警察官殺しで逮捕されたビョンスは医療刑務所に収監されるが、悪化の一途を辿っていた。
面会に来たウンヒを娘と認識できる時もあれば、死んだ姉だと勘違いしてしまうほどに。

医療刑務所を出所したビョンスは、自分がテジュを殺害したことを完全に忘れていた。
ビョンスはまだどこかでテジュが生きていると誤解したまま、彼を殺害するために彷徨い続ける。
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