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ミッドナイト・ランナーのymdのレビュー・感想・評価

ミッドナイト・ランナー(2017年製作の映画)
3.9
日本でドラマ化したことで話題にもなった韓国アクション映画。

警察学校に入学した凸凹バディが凶悪犯罪を止めるために奔走する姿を描いた、疾走感溢れる快作だ。

バディモノ(ブロマンスでもある)としての魅力が遺憾なく発揮されていて、この手の映画が好きな自分としてはグッとくるシーンの連続で痺れたし、2人が葛藤や苦悩を繰り返しながら、徐々に警察官という職業とそこに身を置くことに対する覚悟を決めていく下りなんかも非常にエネルギッシュで素晴らしかった。

事件解決の糸口を探して奔走していくことで徐々に事件の全容が見えてくるという展開は王道の刑事サスペンスモノに通じるけど、それを敢行するのが未熟な警察学校生の2人である、という点がこの映画のキモであり魅力である。

主人公2人の軽妙な掛け合いも非常に楽しく、そのノリとタッチはコメディ映画的なのだけど、骨子になっている話が目を覆いたくなるほどに凄惨&ハードなもので、その対比のバランスが何とも言えない後味を残している。

更にはその犯罪の在り方がまた社会の闇を描いた「ないとは言い切れない」内容なので、ある種、社会派映画的なシリアスさも伴っているのである。

あまりに惨い犯罪の様子を臆することなくあえてレンズに映すその苛烈さは韓国映画ならではだし、アイドル的な存在である若手イケメン俳優2人をそういう映画に起用する大胆さもなかなか凄い。

そして何より凄いのが「刑事映画としての重厚さ」と「スター俳優の華やかさ」のどちらも損ねることなく両立させていることにあると思うのだ。

アクション映画としての見せ場もしっかり用意されていて、挫折と敗北を経てからのクライマックスのアクションのエクストリームっぷりは痛快。
スタイリッシュだけどクールじゃない荒々しい殺陣は彼らの青さがしっかりと反映されているようで、そうしたきめ細かい演出のセンスにも感服してしまった。

やや強引かつ予定調和的な話運びが気になる部分もあるにはあるけれど、全体的には非常によくできた映画だと感じます。
ぜひ続編にも期待したい。
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