あるちう

バッド・ジーニアス 危険な天才たちのあるちうのネタバレレビュー・内容・結末

3.5

このレビューはネタバレを含みます

初観賞
【あらすじ・感想】
勉強熱心に学習を重ね、優秀な成績を修めている学費・食堂代を免除される特待生待遇で進学校に入学する。
美人のグレースやグレースの彼氏でお金持ちのパットと友人となり順風満帆な学生生活にみえたが、友人達からお金を払うからテストでカンニングをさせて欲しいと依頼を受ける。

初めは断ろうとするも、父の経済的な困窮にはリンが高校に入学時に裏金を払ったこと、他の学生達は大金を学校にワイロとして払っていることを知り、カンニングに協力する決意をする。
初めはクラス内、学年内のテストレベルだった依頼も金額、規模が大きくなり彼女自身の夢と引き換えに大きな賭けに出る。。

タイの映画を観たのはおそらく初めて。
リンが初めてカンニングに協力するシーンでは「いやいや、演出過剰じゃね?」と冷めた目で観ていたんですが、中盤~終盤の超大規模、国際的なカンニング場面では手に汗握るほどしっかり食い付いていました。特にリン役の女優さん(名前をどこで区切るのか分からないチュティさん)の演技がとても良い!
雰囲気もオリエンタルでお綺麗ですし、表情の抑揚の付け方が大好きでした。怪訝な顔?が最高。

リンの周りが友達、仲間面してるくせにクズ過ぎて終始腹が立っていましたが、犯罪は環境によって引き起こされる部分がかなり強いなぁと改めて思う作品でした。

【良かった点・好きなシーン】
終盤~最終盤のバンクとリンのやりとり。ふたりは良い関係(恋人とか)になれる可能性もあったんですよね。カンニングが上手くいって、互いの夢を追って、違う国で。でもなれなかった。
カンニングの失敗自体が決定的な離別を招いたのは間違いないと思います。

だだ、離別の理由はそれだけでなくて、元々海外で学びたいという夢を抱いた動機が違ったんじゃないかと。リンはストレートな憧れで。バンクは多分現実逃避で。
だから挫折した時もリンは更正に向かい、バンクは復讐へと袂を分かつわけです。
失敗してからも互いに支え合っていく未来もあったかもしれなかったけど、夢を失ってしまった後の対処法が大きく違った。

そこには親の影響が大きいのではと。家族がシングルのふたりですが、リンはことあるごとに尊敬し、裏切れないお父さんの顔を思い浮かべるのに対し、バンクは思い浮かべられない。なんならバンクのお母さんは一瞬も顔映ってなかった気がします(見落としだったらすいません)

色々と考える映画でした。

違う世界線でカンニングや犯罪に触れずにふたりが幸せに留学出来る未来も見たいですね。
あるちう

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