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バッド・ジーニアス 危険な天才たちのRのレビュー・感想・評価

4.9
最っ高に面白い!!! こんなガッツリ心奪われるスパイサスペンスを見たのは久しぶりかも! しかもその中心にあるのが高校生のカンニング! 主人公の天才女子高生リンは特待生の奨学金を受けて進学校に転校するんやけど、まわりはワイロなどで入学してる金持ちのバカなボンボンだらけ。お母さんと離婚したばかりのお父さんは学校の教師で安月給、貧しいけどまじめに生きてて、リンを海外留学させてやりたい一心で転校を決意した健気なおっさん。新しい学校で初めて出来た女友だちグレースに、勉強教えてくれって頼まれるんやけど、どんだけ教えても全然できるようにならんから、いっそのこと、とカンニングにさせてやるのがサスペンスシーン第一弾。靴を使ったカンニングの演出はなかなか面白いけど、まだあまり誰にも感情移入してない段階なので、んー、まぁ普通かなぁ、くらいだったのが、だんだんとカンニング依頼件数が増えて一大ビジネス化、やがて本作最大のクライマックスとなる国際的な大学入試一次試験へと到る。その過程で、リンと同じくらいの天才でライバルのバンク君が出てきたあたりから胸キュンの嵐が始まる。チャーノンサンティナバーンクン演じるバンク君、ガッシリした体格に純情そうな童顔のシャイで不器用なり真面目くん。家は貧しいクリーニング屋さんで、苦労人の母。え、もう、キャラ魅力的過ぎて胸が苦しいんですけど…彼の真っ直ぐな瞳に心奪われ、一気に映画に没入! 本作はスタイリッシュなクライムサスペンス、切ない青春ドラマ、普遍的な社会派ドラマ、の3つの側面があり、リンとバンク君の微妙に変わりゆく関係が3つのドラマの軸になってて、どれにも無理矢理詰め込みました感が全然ない、自然でエモーショナルな見事な流れ。マジ素晴らしい。ふたりの間の対立後のほのかな恋心はやがてスリリングな共犯関係に発展し、犯罪チームとのワクワク綿密な打ち合わせのあと、大勝負の本番! このシーンのハラハラはすごい!!! 何度も何度も迫り来るタイムリミット! マークシートとの真剣バトル! バレるのか! バレないのか! 迫りくるパパ! 迫り来るオッさん! 迫り来る破局⁈ うおおおおおおおおお!!! ど〜〜〜〜なるのじゃあああああ!!! この子たちはどうなってしまうのじゃああああ!!!と正座して画面にかぶりついて見てしまいました。恋愛は旅行うまい!笑 ほんですべてが終わったあとの、ミスターバンクのクリーニング屋シーン。あまりのやりきれなさに胸が張り裂けました。涙が堪えられなかった。あんまりだ。悲しすぎる。1人の人間の人生とは、自分の中の善と悪の絶え間ない戦いです。1つの社会、1つの国、1つの世界、それぞれのレベルで善と悪の戦いが常に起こってて、個人の戦いはほとんどがすべてがより大きなスケールの戦いの結果を反映してしまう、これは確実なる真理だと思う。善の連帯は信頼をベースに築かれる一方、悪の連帯は不信をベースにするしかない。その戦いは個の欲望によって泥沼化する。そして、泥沼の中でみなクリーンさを失ってしまう。だが、泥沼だからこそ放ち始める光もある。難しい! 実に難しい! が、意識するにしろしないにしろ、突き詰めると個の戦いの結果が全世界の流れを決定してしまう。世界と言っても無数の一人一人の集まりでしかないんだから。いやでもなーあのクソガキふたりを筆頭にやっぱ金持ってるヤツらの腐敗はひどいよなー。と、ホントにいろんなことを考えさせる、サイコーにキュートでサイコーにスリリングでサイコーに悲しいサイコーのエンターテインメントになってます!!! ひさびさに好きすぎました。これはBlu-rayゲットでしょ。
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