カンニングを題材にしたタイの映画です。
ざっくり言えば、家は貧しいけど勉強が得意な賢い女の子が、お金持ちの同級生と仲良くなり、彼らに自分の試験の回答をあの手この手でカンニングさせて、報酬をもらう様になるのだが、どんどんスケールが大きくなり、カンニング行為もバレそうになるけど、さあどうする?的な内容です。
この映画のすごいところは、テストをカンニングするという、別にどーってことないみんなが想定できるようなありがちな場面を、これでもか!っていうくらいスリリングで、息を飲むようなサスペンス展開で連発してくれることです。やってることは、机の周囲だけで起こるのスケールの小さい話だし、前半などは特にカンニングのやり方も単純な方法なのに、とにかくハラハラさせるような見せ方がすごい。「えっ?えっ?、マジ、大丈夫?」と固唾を飲んでしまうシーンが目白押しでした。ポン・ジュノ監督の「パラサイト」(2019年)における家からの大脱出場面がとても素晴らしかったですが、この映画の試験シーンはあれに匹敵する見せ方の妙だと思いました!正直ここまでドキドキさせられる映画だと思っていませんでした。後半のライバルとの共闘や、みんなの一致団結などは胸アツ展開!
あとは個人的には音が印象的でした。鉛筆でマークを塗りつぶしたり字を書くカリカリとした音、シャープペンがカチッとなる音、誰もが学校の試験や入試で、緊張感や静寂の中に響くこれらの音が身に染みていると思います。それらの音が緊張感を高める効果を持たせていると思います。少なくとも僕は、浪人してあとがない状態で受けたセンター試験や、大学の追試験など、辛い感覚や焦る気持ちを思い起こさせられました。
またタイの格差社会、学歴社会のあり方、学生生活の雰囲気が垣間見える点も興味深い。世界的に、格差社会を扱う映画が増えてきていますが、この映画もその一つと言っていいでしょう。本人に能力があっても、どんなにもがいても、抜け出せない格差や貧困層が搾取される構図を見ると、やはりやるせない気持ちになってしまいました。
タイの映画は正直今まで観たことは無かったですが、この映画はちょーレベル高いエンタメ映画です。ナメてる人も多いかもですが、騙されたと思って是非御覧ください!