140字プロレス鶴見辰吾ジラ

サニー/32の140字プロレス鶴見辰吾ジラのレビュー・感想・評価

サニー/32(2018年製作の映画)
3.5
良い意味でも悪い意味でも尖ったブラックコメディ。佐世保の事件に着想を得ながら、アイドル論に対して宗教精神や未成年殺人の後処理を皮肉った、低予算邦画の獣臭の抜けない映画だった。拉致されてピエール瀧とリリー・フランキーの絶望感や「ウィンドリバー」の如く逃げられない閉鎖的田舎の精神的寒さ。ネタ自体の寒さもあり「キサラギ」のドタバタや「ミザリー」の求めやるせない想いを油で痛め、何故か「撫子スネイク」を彷彿とさせるキレる女子覚醒モノとズブズブに画面に引き込む尖った邦画に好きな要素も嫌いな要素も感じた。畳めぬ風呂敷に二人目の登場、エモい単純なクライマックスをよしとしないのは悪くない。「愛」という形のない要素が憤怒した後の包容という救済の起伏熱に絆されみなみな頭を垂れて信者になるくだりは、うだつの上がらない今を元気付けてくれる力があった。