ペコリンゴ

お料理帖~息子に遺す記憶のレシピ~のペコリンゴのレビュー・感想・評価

3.7
記録。
受け継がれる母の味。

自分の身近な人が認知症になったら…?
出来れば考えたくないけれどそうも言ってられない社会だからこそ、こういう作品が重要なのかも。

認知症を発症した母親の残した料理帖がきっかけで甲斐性無しの息子が生き方を変えるお話。母と息子モノのヒューマンドラマです。

母親エランを演じるのは50年ものキャリアを誇る韓国の大女優イ・ジュシル。『新感染』でコン・ユの母親を演じていたお方。

このエラン、地元で人気の惣菜店を長年切り盛りしてまして、優しそうな見た目に反してとっても強気。「愛情ひと匙、小言は大匙」の秀逸なキャッチコピーが示すように小言かなり多め。

でも小言を言うには理由がありますよね。息子のギュヒョンは妻子ある身ながら安定した職が無く、奥さんに家計を頼ってるプチ・ヒモ旦那状態。そりゃ小言も言いたくなるってもんですよ。

徐々に進行していく症状の描写や、家族に起こるゴタゴタをしっかり描きつつも、決して後ろ向きじゃない暖かいドラマは涙腺を遠慮なく刺激してきます。

僕ってこういうのに弱いんですよね。
(ここだけの秘密)

物語の中で明かされるある事実について、それを知らないギュヒョンに違和感を覚えたり、そもそもそのエピソード自体無きゃ無いでも…と思ったりはしたけど、総じて佳作と言える作品だったと思います。

おにぎり美味しそうだったなぁ…。