茜

ROKUROKUの茜のレビュー・感想・評価

ROKUROKU(2014年製作の映画)
3.0
「ゼイラム」でファンになった雨宮慶太氏が原作&総監督の妖怪モノって事でずっと観たかったやつ。
結論として期待を超える事はありませんでしたが、オムニバス形式という点では気軽に観れるし、雨宮さんファンなら次々と出て来る妖怪のビジュアルに楽しくなれるはず。
グロさやエグみのないポップなホラーなので普段この手の映画を見慣れてない人でもトライし易い作風…だと思うけどノレるかノレないかはまた別の話。

主人公のOLイズミが同級生のミカと久々の再会をするっていうストーリーを軸に全9話のオムニバスが展開。
開始早々イズミの祖父が持ってる杖のデザインを見て「あー、雨宮さんだわ」つってニヤニヤした。
ぬりかべ・海坊主・カラ傘・ろくろ首など…オムニバスに出て来る妖怪は日本人なら馴染みのあるメンツが勢ぞろい。
どれも一般的に思い浮かべるビジュアルに雨宮節とも言える捻りが加えられており、このデザインを楽しめる人であれば本作に一定の満足感は得られるはず。
ただどうしても自分はCGにときめかない性分なので「ゼイラム」ほどの高揚感はなく…決して嫌な使い方のCGではないんだけど、これらをもっとゴリゴリのSFXで観れたら最高だったなぁと思ってみたり。
でも海坊主の歯が沢山の人間の手で出来てるっていう表現は面白くて、それがうねうね動く姿はかなりユニークで良かった。
あと自分の中ではかまいたちってぬ~べ~に出て来る可愛い獣の印象が強かったから本作のガーリー味な可愛さはあまり刺さらんかったなぁ。

妖怪と共に次々出て来る俳優陣も有名な人ばかりでびっくり。
伊藤かずえ、いしだ壱成、マキタスポーツ…向かいのビルの窓際で服を脱ごうとする女を変態と煽りながら覗き見ようとする遠山景織子に笑ったし、ミッキー・カーチス演じるイズミのおじいちゃんも可愛くて好き。
でもこれだけ知名度のある俳優さんが揃ってる割にターゲット層は広くなさそうだし映画として良く出来てるとは言い難い。
先にも書いたようにビジュアルやデザインなど視覚的な部分を楽しめる人か雨宮さんのファン向けという印象だし、日本人より外国人受けしそう。

何かと暗さで誤魔化すホラーが多い中、明るい真っ白の画面でろくろ首をこれでもかと見せつけてくるラストは潔くて良い。
茜