茜

カットスロート・ナインの茜のレビュー・感想・評価

カットスロート・ナイン(1972年製作の映画)
4.2
Blu-rayが発売されると知って前から欲しいと思ってたんだけど、U-NEXT見放題に来た!ありがたや!

人里離れた寒々しい雪山で犯罪者達を運ぶ馬車が盗賊に襲撃され大破、凶悪犯7人と彼等を護送していた軍曹&その娘に降りかかる過酷な運命のお話。
極悪非道のマカロニウエスタンというだけあって、クオリティの高い残酷描写も盛り沢山。
自分は西部劇って殆ど馴染みがないんだけど、この設定と残酷描写という要素だけで俄然興味を惹かれました。
あとヘイトフル・エイトがこちらに影響受けてるから観たいっていう気持ちもあったけど、この点については「似てるね」っていう程度で大して深掘りする要素は感じなかった(笑)

お話自体は正直笑っちゃうくらいめちゃくちゃだと思う。
軍曹の妻を殺した人間が犯罪者達の中にいるとか、移送しているようで実は金を運ばせているとか、ユニークな設定があるにも関わらず、そこの扱いは空気レベルで軽い。
寧ろこの設定いる?ってぐらい放ったらかしなので「次は誰が死ぬのか、最後に誰が生き残るのか」っていう部分にしか自分は意識が向かなかった。

だからといって決してつまらない訳じゃないです。
だってグロのクオリティがとても高いんだもん~、70年代でこの出来って素晴らしいと思う。
確かに血糊はペンキみたいにベットリしてるし、臓物だって明らかに偽物だって分かる。
分かるんだけど、腹からグチョッと覗くブヨブヨした腸の質感がリアルじゃないとか別でちゃんと気持ち悪い。
足を刃物で切断する時に血が軽くピュッと噴き出たりとか、銃床で顔面殴り潰した時に銃床の形通りの凹みが出来たりとか、いちいち芸が細かくて注視の連続。
銃で撃たれて崩れた顔も露わになった眼球が本物みたいで、一瞬これマジなんじゃないのって思っちゃったし。
他にも逆再生やフラッシュバックを用いるといったこの時代なりの工夫や、馬車が大破するシーンの迫力等々、常に視覚が楽しいのでお話の粗が見えても全く不満じゃない。

そしてまさしく全部を放り出してぶち壊すようなラストが一番最高でニヤリ。
やっぱりBlu-rayほしいな、これ。
茜