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ホース・ソルジャーのYYamadaのレビュー・感想・評価

ホース・ソルジャー(2018年製作の映画)
3.8
【戦争映画のススメ】
ホース・ソルジャー (2018)
◆本作で描かれる戦地
2001年「アメリカ最初の反撃」
 マザーリシャリーフ奪還 /
 アフガニスタン (実話)
◆本作のポジショニング
 人間ドラマ □□□□■ アクション

〈本作の粗筋〉 eiga.comより抜粋
・米同時多発テロ翌日の2001年9月12日、対テロ戦争の最前線部隊に志願したミッチ・ネルソン大尉は、わずか12人でアフガニスタンへ乗り込み、テロ集団の拠点マザーリシャリーフを制圧する任務に就く。
・反タリバンの地元勢力を率いるドスタム将軍の協力が得られるものの、12人の部隊に対して敵勢力は5万人。加えて戦場のほとんどが険しい山岳地帯のため、馬こそが最大の武器だとドスタム将軍は言う。隊員のほとんどが乗馬経験のない中、ネルソン大尉らは馬に乗って厳しい戦いを強いられる…。

〈見処〉
①9.11直後。敵勢5万人に対し、たった12人で戦いに挑んだ米軍騎馬隊——
・『ホース・ソルジャー』(原題: 12 Strong)は、2018年製作の戦争映画。
・本作は、9・11直後に行われたテロとの戦いに身を投じたアメリカ陸軍特殊部隊グリーンベレーの隊員たちの活躍を描いたノンフィクション『ホース・ソルジャー 米特殊騎馬隊、アフガンの死闘』を映像化したもの。
・本作の舞台はアフガニスタンであるが、実際の撮影は米国ニューメキシコ州のホワイトサンズ・ミサイル実験場の近郊で行った。
・主演は『マイティ・ソー』のクリス・ヘムズワース。共演はマイケル・シャノン、マイケル・ペーニャのほか、ヘムズワースと実際の婦人であるエルザ・パタキーが、ヘムズワース扮するミッチ・ネルソンの妻役で出演している。
・プロデューサーののジェリー・ブラッカイマーは原作を入手後、直ちに映画化を決意。原作者のダグ・スタントンも、ブラッカイマーが手掛けた『ブラックホーク・ダウン』のファンだったことから、映画化の実現に至った。
・監督のニコライ・フルシーはナイキやソニーなどのスタイリッシュなCM監督で知られ、またコソボ紛争を追った報道写真家の経歴も持ち、本作が初メガホンとなる。

②本作のその後
・2011年11月に、世界貿易センタービル跡地「グラウンド・ゼロ」に、本作で描かれる「馬に乗って移動する特殊部隊」の銅像が除幕される。
・本作に登場するドスタム将軍は、2002年にアフガニスタン・イスラム移行政権の大統領に就任したハーミド・カルザイのもと国防次官に就任。2014年アフガニスタン大統領選挙の後には、第一副大統領にまで上り詰める。
・2020年2月にアメリカとタリバン間で和平合意が締結、2021年5月から駐留米軍が撤退開始をするとタリバンは攻勢を強め、アフガン政権は事実上崩壊。アメリカなどの後ろ盾を得たアフガニスタンの民主化プロセスは破局を迎えた。
・ドスタム将軍は、ウズベキスタンへ逃亡後、現在はトルコに滞在中とされる。

③結び…本作の見処は?
◎: ラスト30分、少数の騎馬隊で滞空ミサイルを乱射するタリバン軍勢に突入する場面は、まるで真田幸村が徳川家康の本陣を目指すような、決死の名シーン。日本人の特攻精神を感じずにはいられない。
◎: アフガニスタンの荒野に響く大爆発シーンの数々は、不謹慎ながらも、非常に美しく、構図に優れた描写の数々。本作の大きな見どころ。
▲: クリス・ヘムズワース演じるネルソン大尉とドスタム将軍の間に根付いた人間関係が、もう少し印象的に描けていたら、戦争映画の傑作まで昇華できたであろう作品。
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