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ファントム・スレッドのbluemomday0105のレビュー・感想・評価

ファントム・スレッド(2017年製作の映画)
3.7
1950年代のロンドンを舞台とした、初老のオートクチュールデザイナーのレイノルズと「理想の身体」を備えた女性アルマの愛のお話…とまとめるほどには甘くない、愛とエゴと欲望の物語。
美しく豪奢なドレスや刺激的な周りの生活。だがアルマは、独身主義者かつ創作欲を第一としたレイノルズと、ハウスを切り盛りしている姉のシリルとの生活の犠牲になっていることに気づきそれに耐えられなくなっていく。

割とどちらにも肩入れしづらいんだけど、これもひとつの愛のかたちなんだろう。割と男女で評価が食い違いそうな作品よね。
連れてこられたアルマからすればもっと自分の方を見てほしい、小姑うぜえってなるし、レイノルズからすれば「私の仕事で食えてるんだから言うこと聞け」ってなるし。
レイノルズが主導権を握っていた前半と、あることからアルマが手綱を握るようになった後半ではアルマの振る舞いが変わってきてる。

男性が歳上の年齢差カップルって、エネルギーが乏しい男性に合わせると女性は若さや溌剌さを失いガチだし、女性に合わせると男性は生命の危機すら起こり得る…加藤茶とか心配なるしさ。

それはともあれ、レイノルズが作るドレス、クラシックなロンドンの街や建物は魅力的。ショーの場面なんて本当に眼福。官能的かつどこか緊張感もあるジョニー・グリーンウッドの劇伴も流麗。ギターにアタックNo.1のシール貼ってたあの子が!
今作が引退作となるダニエル・デイ・ルイスの、大人と子供を行き来するような演技にも引きつけられた。脚がすごく綺麗だな。

しかしナードマグネットすださんの「バンドマンとその彼女の物語みたい」という感想、本当にそれな!でした。日本版主題歌、クリトリック・リス「バンドマンの女」にすべきだ…ジョニーとの共演で。
https://www.joysound.com/web/search/song/555283

レイノルズがアルマと出会ったカフェでウェルシュレアビットを注文していたり、「ミス・ブラックウッド」って言葉が出てたの気になったんだけど、レイノルズとシリル、アルマのルーツはウェールズなんだろうか。
「彼女の国では~」ってのはそういうこと…
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