あまのかぐや

黄泉がえる復讐のあまのかぐやのネタバレレビュー・内容・結末

黄泉がえる復讐(2015年製作の映画)
3.0

このレビューはネタバレを含みます

久しぶりに韓国映画。
いま手元に観たい韓国映画がいろいろあるんですが、それらをスキップしてレビュアーさんの記録を読んで気になったやつ。

サスペンスとみせて、SFのような、ファンタジーのような…なんともジャンル分けしがたい作品でした。韓国映画はごりごりのサスペンス、バイオレンスものに関しては、あまり「ハズレ」たことないけど、逆にこういった曖昧なジャンルでは、まだ「アタリ」をひいたことないなぁ。観ただけで感想すら書けなかった映画もあるし…。


この女刑事どこかでみたことあるし、この母親役の人もどこかでみたことある。
キャストをみても、かなしいかな、韓国の俳優名・役名は女性か男性かもよくわからない…。

途中で不幸せな女の子とDVとうちゃんの名前が出てくるあたりで、もうパニック。
名前じゃ性別すら区別がつかないよー!。

名前もだけど、こういう目につく・心に残るタイプの女優と、あとは整形顔で区別がつかない女優が多くて、韓国映画のこういうところはまだ苦手。

まずこの映画の世界に入るときはVR、あ、違う「RV」というものを知り「そういうものです」と割り切って観なければいけません。

RVとは「犠牲復活者」Resurrected Victims。

何者かに殺された人物が蘇って、自らの手で報復をする、という事象をさすのか、蘇った人そのものをさすのか、よくわかりませんが、とにかく「そういう仕組」がある世界。

まずその設定を念頭において。

検事を目指す法学生、ジンホンはある雨の日、彼に会いに来た母を道路越しにみる。
その数秒後、母はバイクのひったくりに引きずられ、さらに刺されて死亡する。

母の死後7年。犯罪者への罪に厳格な検事となったジンホンは、ある日姉からの電話で、母がRVになって家に帰ってきたと聞く。蘇った母はジンホンに襲いかかり、RVの法則から、母の死についてジンホンに容疑がかかる。

えーと。この先軽くネタバレなんですが

母の死をめぐってはひったくり犯と他に刺殺した男がいたわけで。
結局は、母もRVにやられたわけで。
その母をヤッた復讐者というのは、過去に母が犯した「殺人」の犠牲者で。

このサイクルをたどっていくとこの根幹にあるのは、若いジンホンの気の緩み、甘え、親の愛を愛ととらない若さゆえの不実さ…。

検事だって、にんげんだもの。

すごくすごく、ありえないぐらい全方向に人でなしだけど、観ている側は、どこか「自分も」と思いあたる部分があって、胸が痛むんじゃないかな。

母の側にしても、そう。
オンマ、それは子を思う愛が深すぎて、もはや愛じゃないよ、って思った。
そんなのひとつもジンホンのためにならんて。
でもやっぱり胸が痛む。…親であれば。子であれば。

誰ひとり同情できないけど、いっぽうで共感もありすぎて苦しい。痛いところえぐってくるよなぁ。

巡り巡って、復讐が復讐を呼び、延々とこのサイクルは途絶えないんじゃない?って気がした。どこかで「赦し」がないと、これは終わらんよ。

罪、恨み、復讐、そのぐるぐる。そのサイクルに「贖い」「罰」、それだけでなく「赦し」を足さないと。でもその「赦し」がいっとう難しいし苦しいし、尊いんだよなぁ。だからこの結末、とくに女の子の件のまとめは一番苦しい。納得できないけど、胸におさめなればならないということかな。

もとをたどれば、放り出されっぱなしの未解決事件が多くて、罪を償わずのうのうと生きてる罪人がいる、報われることのない被害者や被害者家族があとをたたないってことかな。

法で裁かぬ悪を討つ。
月に代わっておしおきよ。

仕事人がこの世にないのなら、死んだ本人が蘇って討つしかないやん。
警察や検事のいいかげんさに対しての、世の中の不信感がよくわかる。

捜査かく乱のためDNA差し替えとかしてた国家情報局と、RVの血をものものしく集めたり、各国のRVを調査するメンインブラックはいったい何がしたかったんだろう。

あ、この映画では美味しそうな韓国ごはんはでてきません。
学生時代のジンホンが友達と居酒屋でチャミスルいっぱい並べていたけど、それだけ。

モヤモヤするし、美味しいごはんは出てこないから再見はないかな…
あまのかぐや

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