しんしん

レイニーデイ・イン・ニューヨークのしんしんのレビュー・感想・評価

4.5
ウディアレン監督作

僕はこの作品を丸々3年くらい待ってました。#Me too運動に加え、やっと公開されたと思ったらコロナ禍で劇場に駆けつけることができなかった。お預けもいいところだ。

今作は雨のニューヨークを舞台にしたロマンティックコメディ。「ミッドナイトインパリ」以来のマジで見易いウディアレン作品だった。何もなしに公開されてたら普通にベストヒット叩き出してただろう。

ニューヨークを舞台にしたというのはウディアレンのど定番。雨のシティの煌めく美しさを切り取る、というのはやはり「ミッドナイトインパリ」のラストを彷彿とさせる。そして、付き合っていた彼女とキッパリ別れて、そこ行く?みたいなのはたぶんウディアレンとスン・イとの関係性を表していると考えられる。

ウディアレンの喋り方を真似した演技を繰り広げるティモシーは非常に愛らしく、ラストにいくにつれエルファニングはもうダイアンキートンにしか見えなくなっていく。

それでも、やはりウディアレンのファンとしてはこのMe tooとの関連について触れないといけないだろう。勿論、もし疑惑が本当にあったならそれは罰せられるべきである。ウディアレンはペドフェリアの傾向があるのも知っている。スン・イとの関係もあるし、そもそも「マンハッタン」とか見ていれば分かってしまうからね。だからもし本当にそういう行為があったのであれば、アレンの一連の作品を愛している僕らにも責任がある。

ただ僕は言いたい。まずこの裁判が1997年のものであり、その時に証拠不十分で不起訴になっているということ。そして、ワインスタインの女性への侮蔑的行為とは一線を画すものであること。そして作品には全くもって非がないこと。ウディアレンはもうアメリカでは映画が作れないだろう。明らかにバッシングが行きすぎてしまっている。ウディアレンの芸術活動を全否定するには些か早計すぎると感じた。

とにかく、結論を出すには情報が混濁し過ぎている。それでもポランスキーやトリアーら芸術家によるセクハラは向き合わなければいけない問題である。ただ、彼らの作品を無かったことにすることがこの問題の解決策ではないことは明確に分かる。

だからこそ僕は言いたい。「レイニーデイインニューヨーク」は大好きな作品だ。