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スローターハウス・ルールズのkuuのレビュー・感想・評価

3.5
『スローターハウス・ルールズ』
原題Slaughterhouse Rulez.
製作年2018年。上映時間103分。

俳優サイモン・ペッグ&ニック・フロストが設立した映画製作会社Stolen Pictureの第1弾だそうです。
英国の全寮制名門校を舞台に、地下から現れた謎の生物が巻き起こす恐怖を描いた学園モンスターパニック。

主人公ドンをフィン・コール、ウィルをエイサ・バターフィールドが演じる。ペッグとフロストが製作総指揮を手がけ、自らも出演。
監督はロックバンドの中心人物で、サイモン・ペッグ主演の『変態小説家』で映画監督デビューを果たしたクリスピアン・ミルズ(クーラ・シェイカーよく聴いたなぁ)。

父ちゃんを亡くし自堕落な毎日を送る青臭いドンは、母ちゃんオススメ全寮制の名門校スローターハウス学園に転入することに。
ドンは学園を支配する最上級生から目の敵にされながらも、ルームメイトのウィルや美しい上級生クレムジーと親交を深めていく。
そんなある日、学園の敷地内に出来た巨大な穴から凶暴な生物が現れ、生徒たちを次々と襲い始める。

本作品は、『ショーン・オブ・ザ・デッド』みたいなスタイルと、
ホラーロマンス、そして、体罰、下級生の酷使、同性愛、いじめなど、イギリスのパブリックスクールの実態を過激な妄想とブラックユーモアを交えながら描き、賛否両論を巻き起こした『If もしも....』(1968年)、
古い伝統におしこめられた若者の権威への反抗が、恐るべき事件を生み出していく。 『若いけものたち』(1971年)、
『チップス先生さようなら』みたいな1960年代の暗い反抗的な映画を組み合わせたものモンかな。
これらの作品をご覧になったことがありハマったなら、今作品がハマるかな。
逆に、今作品は上記の作品のコメディー部分をヒントにしたんわかるし、今作品が合えば、他の作品も合うと思います。
また、ハリーポッターのパロディも少なからず入ってるかな。
メレディス(サイモン・ペッグ)とオードリー(マーゴット・ロビー)のうまくいかないロマンスは個人的によかった。
寮母は本物のセント・トリニアンズのスタイルを感じさせる(書物でしか知らないけど)巧いキャスティングやったかな。
反面、マイケル・シーンとサイモン・ペッグのキャラが一体化しているように見えるけど、ここの脚本はもっとうまくできたんちゃうかな。
この作品はホラーとは云えず、クリーチャーは全然怖くない。
時には、時間がかかり長く感じた場面もあったかな。
テーマは、
消極的な願望、
悪に対する善、
挫折、
そして手に入らないように見えるロマンス。
いじめ。
欺瞞。
親の圧力。
孤立と放棄。
伝統と現代、
時代の変化、
LGBTQの受け入れなど。
これは象徴的な物語やし、国の経済状況の変化の物語でもあったかな。
本来、公立学校は男性エリートが国をリードする役割を担うために押し込められるものやったけど、スローターハウス・スクールは、財政を支えるために女子学生や外国人学生を受け入れることに不本意ながらも適応しなければならない。
また、校長の倫理観のない企業との取引や、悪に対する善の勝利の最終的な報いなど、より邪悪な側面もある。
ホラーファンの方は、実際のホラーがないことにがっかりするかもしれんかな。
確かに、飛び上がるような映画じゃないけど、悪い映画ではありませんし、適切な期待を持って行けば、楽しく見ることができました。
コメディーがこの作品を支えてたかな。
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