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ゲティ家の身代金のYYamadaのレビュー・感想・評価

ゲティ家の身代金(2017年製作の映画)
3.4
【実話に基づく傑作映画たち】
 ~事実は小説より奇なり

◆ベースとなった史実
〈世界一高額な身代金を巡る攻防〉
 ~J・P・ゲティⅢ世誘拐事件 / 1973年
・場所: イタリア/ローマ
・人物: ジャン・ポール・ゲティ
    (世界一の大富豪)

〈見処〉
①世界一有名な誘拐事件
・『ゲティ家の身代金』(原題:『All the Money in the World』)は、2017年製作のサスペンス戯曲。日本ではR15+指定にて公開。
・本作の舞台は1973年のローマ。石油王ジャン・ポール・ゲティ翁の17歳の孫ポールが誘拐され、母ゲイルは史上最高額1700万ドルの身代金請求を受ける。
・守銭奴として知られる義父ゲティは、身代金の支払いを拒否。ゲイルは息子を救うため、世界一の大富豪のゲティと対立しながら、誘拐犯と対峙することになる…(eiga.comより抜粋)
・本作は、1973年当時「世界一の大富豪」ゲティ・オイル社社長のジャン・ポール・ゲティの孫が誘拐された実話を、リドリー・スコット監督がフィクションを織り交ぜて描いたもの。

②映画より凄惨!プロダクションの裏側
・本作の主要撮影は、2017年5月31日から開始され、同年8月にクランクアップ。
・しかしながら、同年10月29日にゲティ役ケビン・スペイシーによる、当時18歳男性への強制わいせつ暴行疑惑が明るみになり、配給会社はスペイシーをアカデミー助演男優賞にノミネートさせるためキャンペーン活動をキャンセルとした。
・公開まで残り2ヶ月を切った11月8日。リドリー・スコットは、11月16日のプレミア上映会もキャンセルし、スペイシーの出演シーンを再撮影する決断。代役にスペイシーよりも30歳年長のクリストファー・プラマーを起用する。
・再撮影は、ローマやヨルダンの野外シーンを、セット撮影と合成させるなど11月20日~29日にかけて行われ、夜を徹した再編集により、12月7日に本編は完成。12月25日に劇場公開された。
・再撮影には1000万ドルが費やされ、監督のリドリー・スコットは「キャストがただ同然で再撮影に協力してくれた」と発言をしていたが、2018年1月「ワシントン・ポスト」は、ウォルバーグの再撮影ギャラ150万ドルに対し、4度のアカデミーノミネートに輝くミシェル・ウィリアムズは、日当80ドル、合計1000ドル(約11万円)に満たない額しか支払われていなかった記事が掲載される。
・報道で事実を知ったスコット監督は激怒。世間やハリウッドセレブから、スペイシーのスキャンダルに加え、男尊女卑のギャラ交渉を行った苦言が相次いだことから、ウォルバーグは自身の配慮のなさを詫び、ミシェル・ウィリアムズ名義で、150万ドルを#MeToo運動基金に寄付することを声明。
・本作に対するスキャンダル風聞は、プラマーが第90回アカデミー賞にて最高齢記録を更新した、助演男優賞にノミネートされるまで継続された。

③結び…本作の見処は?
本作プロダクションのいざこざのほうが面白いかも。
○: 世俗から離れた欲の塊であるJ・P・ゲティを演じるクリストファー・プラマーはまさに適役。ケビン・スペイシー降板は、本作にとって「怪我の功名」。わずか数日間の追加撮影とは考えられないほどの存在感。
○: 二転三転するストーリーは予断を許さない。なかなか優れた脚本なのだろう。
▲: ストーリーも画構成も重苦しい。
▲: マーク・ウォールバーグを持て余し感あり。この配役はいる??
▲: リドリー・スコット監督作『ハンニバル』を彷彿とさせるグロテスクシーンは、目視し難い。
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