バルバワ

ゲティ家の身代金のバルバワのレビュー・感想・評価

ゲティ家の身代金(2017年製作の映画)
4.0
誘拐映画はハネケの『隠された記憶』みたいにわからなかったらどうしよう…とシネフィルぶりたくて痛い目を見た学生時代のトラウマが疼きます(弟のトニーの『マイ・ボディガード』は大好き!)。←どうでもいい前置き

いやぁ、今作は誘拐映画ではなくモンスター映画でした。本来誘拐映画って警察&被害者(家族)vs犯人の攻防に焦点が当たると思うのですが、ゲティじいさんが強烈過ぎて…被害者の母&元CIAvsゲティじいさんが物語のメインでした。

もうね、世界一の金持ちゲティじいさんがケチでケチで(まあ、余計な出費をしないから大富豪なんですが)…買い物の際は必ず値切り、ホテルではルームサービスを使わず衣服は手洗いをし、誘拐した孫の身代金を払おうとせず、極めつけは孫の身代金を○○の○○に利用とする…もうモンスターだよ(『ゼア・ウィル・ビー・ブラッド』を彷彿)!しかも孫が誘拐されてる最中に1億円以上のお買い物をする(しかも事実)という…もう1回言います、今作はモンスター映画です!

ここからは私の妄想ですので悪しからず。作中にミノタウロスの骨董品が出てきます。ミノタウロスは「成長するとともに凶暴になる」「少年7人、少女7人を食料とする」という記述がありました。ゲティじいさんは資産を増す度に人格が破綻していきますし、孫が14人いるのです。なのでゲティじいさん=ミノタウロスでは、と思っちゃいました。←あくまで何の根拠もない妄想です。

そんなマネーモンスターのゲティじいさんに周りは振り回され、誘拐犯も連れ去った孫に同情する始末。そして、自分が欲しいと思ったもの(人も含め)は最安値で手に入れたい神に近いケチ金持ちのゲティじいさんに対し、被害者の母・ゲイルの打った最終手段が…もう鑑賞後は金に打ち勝つのはなんなのかを考えちゃいました。


まあ、公開前にケビン・スペイシーのいざこざがあってゲティじいさんはあんまり出番がなかったり、元CIAを演じたマーク・ウォールバーグの現実世界での銭ゲバっぷりにはモヤモヤしましたが、ゲティじいさんの強烈な存在感は本当に見応えあるし、行き着いた人間の悲哀と孤独にやりきれない気分させてくれる映画だったと思います!
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