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ゲティ家の身代金の小のレビュー・感想・評価

ゲティ家の身代金(2017年製作の映画)
3.6
大富豪の孫が誘拐されるけれど、彼にとってはした金同然の身代金の支払いを拒否するという「金持ちほどケチ」と思って安心したい自分が好きそうな(この点は邦題にハメられたかも)、事実に基づく物語。

思ったほど面白くはなかったのだけれど、よく考えるとそう思う自分にガッカリな気分。要するに「金持ち=ケチ=浅ましい人間=悪人」と強者を貶め安心する“奴隷道徳”に毒されているからで、石油王ジャン・ポール・ゲティにひどい目にあってもらい、スッキリしたかったのだろう。

それが十分達成されそうもないとわかると「誘拐された孫だって相当アマちゃんだよね。結局金持ちが勝手に右往左往しているだけじゃん、アホクサ」と思い合理化しようとするという。

物語は主として①富豪じいさんゲティの守銭奴ぶり、②誘拐された17歳の孫ポールの母ゲイルの奮闘、③ポールの脱出劇、の3つから構成されていて、①と③はまあまあ面白かった記憶がある。

問題は②で、ゲティと対立しつつ、誘拐犯とも対峙するゲイルが事実に忠実なのか主人公なのに主人公っぽくなく、ゲティからアドバイザー役に任ぜられた元CIA人質交渉人のフレッチャーの手助けでやっとこさ、みたいなスッキリしない感じ。

しかしそう思うのも、ゲイルを善、誘拐犯とゲティを悪としたわかりやすい勧善懲悪を無意識に期待したからだろう。守銭奴も金持ちに嫉妬する自分も所詮は同じ穴の狢という事実。あーあ。

●物語(50%×3.0):1.50
・イマイチと思ったのは自分の浅ましさ故です。

●演技、演出(30%×4.5):1.35
・セットとか凄そう。セクハラで降板したケヴィン・スペイシーの代役でゲティ役のクリストファー・プラマーがナイス。

●画、音、音楽(20%×3.5):0.70
・キレイ。
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