YYamada

THE UPSIDE 最強のふたり/人生の動かし方のYYamadaのレビュー・感想・評価

3.6
みんなで観よう【みんかい?】指定作品
【リメイク映画のススメ】

◆本作 (リメイク作品)
『THE UPSIDE 最強のふたり』 (2017)
・製作国: 🇺🇸アメリカ
・主演: ブライアン・クランストン
ケヴィン・ハート
・監督: ニール・バーガー
・製作費: $37,500,000
・興行収入: $121,734,748

◆オリジナル作品 (リメイク元)
『最強のふたり』 (2011)
・製作国: 🇫🇷フランス
・主演: フランソワ・クリュゼ
オマール・シー、
・監督: エリック・トレダノ、
オリビエ・ナカシュ
・製作費: 950万ユーロ
・興行収入: $420,000,000

〈見処〉
①ハリウッドが大ヒット作品を
 リメイクしたら?
・『THE UPSIDE 最強のふたり/ 人生の動かし方』(原題: The Upside)は、2017年にアメリカにて制作されたヒューマンドラマ。
・本作の舞台は米国、ニューヨーク。スラム街出身で職もなく、妻子にも見放されたデル(ケビン・ハート)は、全身麻痺で車椅子生活を送る大富豪フィリップ(ブライアン・クランストン)の介護人として働くことになる。
・秘書のイヴォンヌ(ニコール・キッドマン)をはじめフィリップの周囲の人々は、キャリアも教養もなく、お調子者のデルを雇うことに否定的だったが、周囲の反対をよそに、フィリップとデルは互いにひとりの人間として接し、充実した日々を送る。しかし、フィリップは誰にも言えない秘密を抱えており、ある日、ふたりの友情を揺るがす出来事が起こる…(eiga.comより抜粋)。
・本作は、日本でも大ヒットを記録したフランス映画「最強のふたり」のハリウッドリメイク版。日本では、2019年4月から『人生の動かし方』の邦題にて、Amazon Prime Originalとして配信を開始。同年12月から『THE UPSIDE 最強のふたり』の邦題にて全国で劇場公開された。

②リメイク制作のカラクリ
過去に制作された映画を新たに作り直す「リメイク作品」。色々調べてみると、リメイクが行われる理由は様々であるが、以下の8️⃣を除くと、作品質を向上させて新たな収益機会を作るのが常である。

1️⃣ 最新の視覚効果技術で作品質を上げる
(例) キングコング、GODZILLA
2️⃣ クラシック作品を、
 現代の環境に置き換える
(例) 007 カジノ・ロワイヤル
3️⃣ 豪華キャストを登用して、
  作品質を上げる
(例) オーシャンズ11
4️⃣ 作品設定の文化圏を変え、
新たな市場を得る
(例) 荒野の7人、ディパーテッド
5️⃣ 完成度を高めるため、自ら再制作する
(例) デスペラード
スター・ウォーズ特別篇
  マッド・マックス/怒りのデスロード
6️⃣ ステージを変え、新たな市場を得る
(例) スパイ大作戦(TV)→
  ミッション・インポッシブル(映画)
7️⃣ コンセプトを白紙に戻して
続編製作を容易にする(リブート)
(例) アメイジング・スパイダーマン
  インクレディブル・ハルク
  ザ・マミー / 呪われた砂漠の王女
8️⃣ ヒット作品を再制作し、
  高い確率で再ヒットを狙う
(例) サイコ、ロボコップ

・本作の場合は、アメリカの配給会社であるワインスタイン・カンパニーが2011年に『最強のふたり』の全米配給権を獲得した際に、同作を英語でリメイクする権利も獲得し、本作の製作に繋がった。リメイクの理由の分類は、3️⃣4️⃣を狙うも、結局は8️⃣になってしまった感あり?

③結び…本作の見処は?
直近の統計では、リメイク作品の90%がオリジナル作品よりもスコアが落ちるそうだが、本作の場合は…?

○: オリジナル作品と比較すると、フィリップによる負の感情のコントロールや、バツイチ・子持ちに再設定されたデルなど、人物に深みを与える演出になっている。俳優のグレードも本作のほうが上かな!?
○: 美人秘書ニコール・キッドマンの存在感は間違いなくオリジナルより良い。
▲: マンハッタンのドライブ、アレサ・フランクリン、ホット・ドッグの爆食いなど、アメリカ文化に作品設定を調整しているものの、ゴージャスなフィリップの生活環境は、前作との違いを感じさせず。
▲: タイトルに残る「最強のふたり」は、オリジナル作品の二人のほうがケミストリーを感じる。というのは、本作のケヴィン・ハートには、オリジナル作品でドリスを演じたオマール・シーほどの陽気さと人に愛される魅力を感じないからに思える。

大変良い作品でしたが、ニコール・キッドマンを除くとオリジナル作品には届かず、無理にリメイクをしなくとも良かったのでは?が私の評価です。

みんかい?の機会がなくば、鑑賞しないであろう作品でした。皆さん、ありがとうございました!
YYamada

YYamada