目覚めると記憶を失っていた主人公。通りがかった車に助けを求めたところ、突然運転手は死んでしまう。やがて主人公は自分にある一定の距離に近づいた生物は皆死んでしまうことに気づく。そんな彼の元に、彼に近づいても唯一死なない女性が訪ねてくる。彼女とともに主人公は自らの身体に起きた謎を追うのだが…という話。
設定が非常にユニークなシチューションスリラー。
この手の作品は大抵登場人物がわめき散らすだけで話が進まなくてイライラさせられるのだが、本作は主人公がとても察しが良く、自分の身に起きている死の原理を冷静に検証して対策などを講じるので驚くほどスムーズに進行する。主人公に近づいて人がバッタバッタ死ぬ場面は絶望感溢れていて驚かされるし、主人公とヒロインの過去が次第に明らかになる構成も非常によくまとまっている。観ていてハラハラさせられた。ただ、そういった上手さに比べて肝心の人を死に至らしめる原理があまりに拍子抜けな内容で、そこだけ設定がペラペラな印象だった。低予算ながら映画の作りの質は高くて予想以上に楽しめただけに、根本的な部分をもう少し詰めていれば傑作になっていたかもと残念な気持ちになった。結末は意外性ないけど妥当かなあと。
