映画大好きそーやさん

レゴ(R)ムービー2の映画大好きそーやさんのネタバレレビュー・内容・結末

レゴ(R)ムービー2(2019年製作の映画)
4.3

このレビューはネタバレを含みます

他者理解と協調性の意義。
遅ればせながら、LEGO® ムービーシリーズ2作目を鑑賞しました。
前作が私のオールタイム・ベストにも入っている傑作中の傑作だっただけに、鑑賞前はかなり不安でした。
前作を超えないまでも同レベルの作品だったらいいなと思って観始めて、なるほどこう来たか!と唸りました。
このシリーズ特有のストップモーション的に描写していく、3DCGのクオリティは高く、開始数分でテンションが爆上がりしました。
音楽も前作以上に豊富に用意されつつ、そのどれもがノリノリになれるものだったので、そういった方面でも楽しませてもらえました。
前作から引き続きキャラクターも続投していて、彼らの絡みは安心感すら覚えるようでした。
前作からの要素としては、冒頭のシークエンスが前作の最後の場面からになっていて、絶対ではないまでも前作の鑑賞を推奨するような作りではありました。
おそらく前作のような大仕掛けを消費してしまったが故に、今作の脚本は難易度の高いものになったと思います。
LEGOという玩具を奥の奥まで考えて、ようやく「すべての想像性と創造性の肯定」というテーマが生まれたであろうことは、前作を観れば痛いほど伝わってきます。
では、2作目ではどうしたのか。
1文目にも書かせて頂きましたが、今作は「他者理解と協調性の意義」をテーマに据えたのだと考えました。
父と子の対立から打って変わって、兄と妹の対立が軸となる今作には、度々ハートのモチーフが現れていました。
これは思いやる心、すなわち他者を理解することのメタファーになっていたのではないでしょうか?
最初デュプロ星人(妹)が襲撃してきた時、エメットは大きなハートを渡しました。
デュプロ星人はそれを受け取って食し、もっとちょうだい!とエメットたちに迫ってきました。
父と一緒に作っているLEGOの世界、すなわち家族そのものと言ってもいい遊び場に入ることを受け入れてもらえて、きっと妹は嬉しかったに違いありません。
もっとちょうだい!が意味するものは、もっと遊ぼ!や何して遊ぶ?を意味しているのだと思いました。
でも、やっぱりこれまで時間をかけて作ってきた世界で好き勝手暴れられると困るエメットたち(主に兄)は、そうやって迫ってくる姿への理解を誤ってしまったのです。
少しのズレがやがて大きなものへと発展し、ボロボロシティへとつながっていってしまいました。
これは兄妹間の問題だけでなく、この世界においても言えることではないでしょうか?
世界には、今も争いが絶えません。
どこかの誰かは、今この瞬間にも血を流して倒れています。
その原因を探っていけば、辿り着くのは些細なことで、コミュニケーションが足りていなかっただけかもしれません。
当然それだけがすべてではありませんが、それも1つの要因として考えられるでしょう。
認識のズレは往々にして起こります。
だからこそ、相手とよくコミュニケーションを取って理解しようとするのです。
完全には理解できなくても、きっと何が好きで何が嫌いかくらいわかる筈です。
そんな根源的な問いかけにまで今作は立ち返っていると、私は考えました。
柔軟な協調性をもって他者と関わり、少しでも理解して距離を縮めていくことが大事なんだと高らかに語っていたのが、本作『LEGO® ムービー2』だったのでしょう。
ただその強いメッセージ性を伝えたいがために、長台詞で演説してしまっていた部分は大分と苦しかったです。それこそ物語として、映像なり展開で観せてもらいたいと思ってしまいました。
あと1つ言い忘れていましたが、理想とありのままの言及も含まれていましたね。
これは2023年に公開した『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー:VOLUME 3』でもメインテーマだったので、かなり重なる部分として受け取りました。
男(女)らしさより自分らしさを優先する姿勢は昨今尊重されるべき考え方でもあって、こんなところにまで触れてくれる今作の懐の広さ、優しさに感服した次第です。
さて、そろそろ本レビューも終わりにします。
100レビュー目ということもあって、いつもより筆が乗ってしまいました。
過去最長になってしまったかもしれません。
ここまで読んで頂けた方には、感謝してもし切れませんね。
もう少し簡潔にまとめていく努力もしていきますので、今後もよろしくお願いします。
総じて、前作超えとはいかないまでも、普遍的なテーマ性をもって心を打つ名作映画には仕上がっていました!
また子どもができた時にでも観せたいですし、私も観ようと思います。