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クレイジー・リッチ!のbluemomday0105のレビュー・感想・評価

クレイジー・リッチ!(2018年製作の映画)
3.8
若くして経済学の教授として大学で教鞭をふるう生粋のニューヨーカー、レイチェル。恋人ニックの親友の結婚式に同伴するため、ニックの故郷シンガポールへ赴くが、実はニックはシンガポール随一のセレブ一族の跡取りだった!

予告がかっこよくて気になってたけど、めっちゃ金運上がりそうな超絶景気のいい映画だった!!!!!
緊縮財政なんてクソ! ファストファッション着回しコーデなんてクソ! 普段使いできないゴージャスなドレスを身にまといたい…経済は回さなきゃ意味が無い!

基本普通のロマコメだけどオールキャスト中華系って言うのが、確かにアジア版(中華版)ブラックパンサー。黒人が常に差別されてるわけでないのと同様、チャイニーズも海外ドラマの登場人物と同じような暮らしをして考えを試みて生きている。しかしそこにアイデンティティは寄り添う。

所謂海外ドラマ好きな若い人に観てほしい映画だから、批判の多い邦題もあれでいいと私は思う。「アジア」って付くとそういう人達に届かない気がするし、アジアをアピールしすぎると、そちら目当てで見に来た人には物足りない。中華系ばかりだから「ASIANS」だと主語が大きい気がするしね。

グローバルに動きつつも中国人であることを常に意識して生きる、ニックの母親(ミシェール・ヨーの美しくも怖い貴婦人ぶり!)のような華僑と、レイチェルのようにガワだけ中国人で考え方はアメリカ人のABC(Anerican borns China)。家のために自らを犠牲にした世代と、自分のキャリアも伴侶も大切にしたい世代。

アイデンティティ&ジェネレーションギャップを頭を使って乗り越えようとするレイチェルは、賢く勇気のあるヒロインだった。同じく格差婚に不安を抱くニックの従姉妹アストリッドも、レイチェルに勇気をもらったからちゃんと言いたいこと言えたんだろう。
中華系女性芸能人ですらほぼ大富豪(または同僚芸能人)と結婚するような状況だから、生粋セレブのアストリッドや旦那さんが好奇の目に晒されたのは想像に難くない…噂は千里を巡るし(冒頭の描写しかり)。

そういう慣習から外れたシンガポーリアン、レイチェルの友人のぺク・リン(オーシャンズのオークワフィナ!)良き!
口悪くて存在感からやかましいけど、彼女が弱ってる時には発破かけたり見守ってたりと根はいい子だな。ゲイのオリヴァーもいいキャラで好き。

庶民のレイチェルを歓迎しない母親や友人達、予告だと所謂嫁いびり的な感じでやだなあって思ったけど、割とさらっと流せたのは編集がいいのかな? やってることは結構えぐいけど。
冒頭のロンドンのホテルのエピソードがねっとり描かれてるのとは真逆で。
(高級ホテルの入口で脱糞するアジア系旅行客みたいな話は今も見るから、そういう対応になるのも…って所はあるけど)
最初の方のレイチェルの授業が終盤の麻雀対決に効いてくるのも構成が上手い。

シンガポールって米朝首脳会談仕切ったり、シンガポールGPにキラーズとリアム呼んだり、ヒューゴボスのイベントにクリヘムとセバスタ呼んだりしてて、どれだけ景気ええねん!って思ったけど、決して景気いいわけではないみたいで…。もちろん貧富の格差半端ないから、セレブが豪遊してる裏で食べるものにも困る人達いるだろうけど、基本的に攻めの姿勢なんだろうな。日本もせせこましい暮らし強いる場合じゃないですよ!

あとシンガポールの屋台めちゃくちゃ美味しそう…
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