140字プロレス鶴見辰吾ジラ

ロング・ショット 僕と彼女のありえない恋の140字プロレス鶴見辰吾ジラのレビュー・感想・評価

3.6
【いい夢見れたぜマザーファッカー】

2020年劇場初鑑賞はこれ!

強く美しい女性に赦されるということは、すべてのブ男にとって永遠の願いなのではないだろうか?あくまで個人的意見なのだが、きっと私は赦されるたいのだろう。認められたいし、抱きしめられたいし、愛されたい…ただそのために必要な抑制や努力や妥協を怠ってきているのだろう。シャーリーズ・セロンという美と強さの象徴のような人がこんな形で赦してくれて、さらに愛してくれるなんて夢の世界の話だ。今は女性解放運動が過剰なまでに進んでいて、男は世界の害虫みたいな扱いをされている。私もその害虫のうちの一匹にすぎない。だからこれはいい夢だ。こんなイチモツよりデカい欲望や理想みたいな映画は痛みが先走って見てられないのだが、擬似的にも赦しが与えられたのと、女性解放や環境問題などあげつらっても、最後は自分のもとに来てくれるのだと期待するくらい許しておくれよといいたい。

昨今はディズニープリンセスも自立や自由の道が舗装されどんどん対岸へと渡っていく。俺たちはアルコール依存セラピーに送り返されるのだ。しかし本作のブ男が辿り着いた道は自由という強制舗装の道とはまた違う道へ進む。支えられたいし支えたい。バランスのとれた結末に案外心が満たされた自分がいる。

今、時代は本質を求めていると同時に「赦し」を求めているのではないだろうか?誰かを「赦し」誰かに「赦され」、そして受容が広がればきっと“隣人を愛“は実現されるのではないだろうか?

あらゆるスキルに卓越したシャーリーズ・セロンがクラブでドラッグをキメるところなんて、俺たちが求めた“萌え“という消費のように思えるのだが、それ以上に主人公の向こう見ずな信念と隙あらばジョークを仕掛けようとする精神はきっと我々なのだと思うし、それが擬似的に赦されるある種のガス抜き映画として秀逸なのだろうと思った。

俺は陰じゃ、「キモい」「面白くない」「邪魔」だと揶揄されているが、年明けの正月休みくらいドラッグをキメるように赦しの疑似体験したっていいじゃねーか。

いい夢見れたぜマザーファッカー!