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アガサ・クリスティー ねじれた家のHKのレビュー・感想・評価

3.6
アガサ・クリスティのミステリー。原作は未読。
公開時たいして話題にならなかった本作を配信でみつけて鑑賞。
大富豪が豪邸で殺害され探偵が真相を探るというよくあるパターン。
今回、探偵はポワロでもマープルでもありませんけど。

なんだ、そこそこ面白いじゃないですか。
時代色も豊かで、豪華なセットと衣装でなかなかの映像美。
容疑者一族の面々も過剰ギリギリのところで皆ほどよく変人を演じており、いかにもクリスティのミステリーといった雰囲気が味わえます。

しかしながら、たしかに地味ではあります。
本作の前後に公開されたケネス・ブラナー版『オリエント急行殺人事件』や『ナイヴズ・アウト』なんかのオールスター・キャストの派手さと比べるとなおさら。
ポワロもマープルもいないのに加え、俳優陣もベテランとは言えもうお歳のグレン・クローズやテレンス・スタンプでは華やかさに欠けます。

全体的にそつなくインパクトは希薄なので、雰囲気を楽しむ映画と言えましょうか。
ミステリーの映画化の常で、原作はもっと面白いんだろうなーとは思ってしまいますが。
後で、クリスティー自身がもっとも満足している原作の一つだと知るとなおさらです。

主人公の若い二人もイケメンと美女ですが印象が薄い。
この探偵(マックス・アイアンズ)はジェレミー・アイアンズの次男なんだそうですが、若すぎて全く頼りないと思っていたら、原作では探偵ではなく外交官だとか。
なぜ無理に探偵にしたんでしょうか。元外交官という設定ではあるようですが。

それでも私はケネス・ブラナーのポワロ・シリーズよりは楽しめたかな。
まあ、原作を読んでないせいもあるかもしれませんが。
『X-ファイル』のジリアン・アンダーソンはしばらく気づかないほど別人でした。
しかし余韻も何も無い唐突なブツ切りラストはいただけませんね。
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