きまぐれ熊

ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッドのきまぐれ熊のレビュー・感想・評価

4.3
チェンソーマンOPツアーも中盤戦。
パロディシーンは超冒頭の運転シーン。
ブラピ演じるクリフがアキでディカプリオ演じるリックがデンジ。
どっちの役がどうこうって意味づけよりも2人の友情にこそ採用意図があるんでしょう。まあそもそもデンジ運転できないしね。
アニメだけだとワンハリと同定できるか?って疑問が浮かぶかもしれないけど、確実にこれ。青いクリフの車と、印象的な階段が映画では、印象的に映り込む。アニメではこの2点がワンシーンに詰め込まれてるので間違いなくこの映画でしょう。

レザボアドッグスがハマらなかったのでタランティーノ作品向いてないのかな〜と思ってたけど本作はめちゃめちゃ良かった。
正直なとこいうと半分くらいまでめちゃめちゃ退屈だったんだけどクリフが牧場を訪れるあたりで俄然引き込まれてきて、終盤はめちゃめちゃいい映画だなぁと思うまでに気持ちが移り変わる作品でした。
シャロンテート事件が下敷きにある事は知ってたんだけど、知ってても知らなくても楽しめる内容になってるね。さすが映画オタク監督。よく練られている脚本だと思う。
とはいえ人を選びまくる作品である事は間違いないが、チェンソーマンの作者である藤本タツキがタランティーノ作品を愛しているのも納得というか、根本的に指向性が一緒なんだと思う。
コンテンツを愛しすぎて普通はそうならないだろう、という展開を練りに練った脚本で見せるあたりがそっくり。

ラストシーンがめっちゃいいっていう評判を伝え聞いてたんだけどなるほど確かに素晴らしい。
古き良きハリウッドの歴史には興味がないけど、いい歳したおっさん2人の友情はほんとに良かった。そこを殊更記号化してない良さというかありのままのしょうもなさを綺麗に描けるのはセンスがいる。
この辺ビックリボウスキとも近しい良さがあってなるほど文脈が繋がってるんだなぁと納得してしまった。

タランティーノ映画イケてる構図がめっちゃ多いと思うんだけど終盤に差し掛かるリックを家に送迎するシーンのハリウッドの絵が死ぬほど良くてここだけでまたいつかこの映画を見ようという気持ちになれた。やっぱ映画のパワーって構図のセンスありきだよなぁ。

所でタランティーノ作品楽曲の使い方に特徴ありますね。楽曲をシーン間のワイプ代わりに使ってる。割と継ぎ目が力付くというか楽曲のパワーで無理くりイメージを切り替えさせるみたいなつくり。その代わり、楽曲の引き際が結構テクニカル。ドアを閉める音でストップしたりドアをくぐるとボリュームを半分にカットしたり。曲を入れる瞬間は脳筋なのに、切り際をシーンに合わせたリアリティを持たせる事によって脳筋なのに臨場感を持たせる事に成功していてさすが映画オタクというか技巧的なことをやってるんだなぁ。って感心した。


脚本に関してはメインシナリオだけなら半分くらいで終われるよね?って終盤までは思ってたんだけど、その逆で寄り道にこそテーマがあるタイプの映画だった。
という訳で、シャロンテート事件は予習してもしなくてもそれぞれ楽しめると思うのでお好みでどうぞ。
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