140字プロレス鶴見辰吾ジラ

チワワちゃんの140字プロレス鶴見辰吾ジラのレビュー・感想・評価

チワワちゃん(2018年製作の映画)
3.5
【ところでおまえの人生ってインスタ映えするの?】

若者の…というか陽キャやパリピのうちに秘める“エモい“の連続写真みたいな映画だった。「チワワちゃんが死んだ。」という始まりから「桐島、部活やめるってよ」みたいなモノかと思ったら、そこに映されるのは、インスタ映えしない陰キャの人生でなくて陽キャのグチャグチャで空っぽな頭の中。

よく「オタクは図鑑が好き」だとか、「収集僻がある」とか、軽く信仰心で行動するきらいがあるのだが、本作で映されるのは、盗んだ金で豪遊する空っぽな彼らの生き様。生き様なんてたいそうなモノではない気がするが、そもそもインスタ映えって群れを形成する中で群れから逸脱したい欲求だったりとか、収集することができない形のないエモーショナルな部分を写真に収める「思い出の切り取り行為」に安心して自分の存在確認なんだと思う。そう捉えると、本作のチワワちゃんの死で、思い出を思い返すことで彼らの存在確認が成されて、それを映画という連続写真に収めて映す行為は正解だと思う。人の死がミステリーとして描かれる作品ではないので、ミステリーと見るならオタク的で、空っぽながら空っぽなりに思い出を切り取る行為の反復が成した意味は充分にある物語だったと思う。

チワワちゃんを演じた吉田志織の肌触りは確かなエモさで、何より門脇麦の質感は恐ろしいまでに抜群だった。