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氷上の王、ジョン・カリーのbluestarのレビュー・感想・評価

氷上の王、ジョン・カリー(2018年製作の映画)
4.0
2020年3月からのコロナ自粛を受けて、ミニシアターのアップリンクさんが苦肉の策でクラウド見放題プランをやってくれてます。 
3ヶ月見放題で2980円。

その中で1番早く観た映画です。 

2018年公開で、観そびれていました。
ジョン・カリー、
スケートに芸術性を取り入れた開拓者。
1976年インスブルック冬季五輪フィギュアスケート男子シングルの金メダルを獲得した、当時の大スターのドキュメンタリーです。

ドキュメンタリーという体裁に収まらない程ドラマチックで、そして本人の一挙手一投足が全て美しく、演技に見惚れました。

時代は少し古いけど、この人を知って良かったし、観てよかったです。ちょっとネタバレ気味に観た感想を。

ジョン・カリーは、元々子どもの頃にバレエをやりたかったけれど親から許されず、スケートならスポーツだからokと認められ、そこから並々ならぬ才能を伸ばし続けて一躍金メダリストに。

だけど、それはキャリアの一部で、その後の挫折を乗り越えて、アイススケートを劇場に導入し、舞台芸術に昇華させるなど、
指導者、主催者、主演者、経営者としての人生と、
ゲイでありながら生きる困難さや孤独や混沌のストーリーは映画の半分を占め、元パートナーであり唯一無二の友人から明かされます。

イギリス人だし、観ながらクイーンのフレディにも重なりました。
劇中、チラッとエルトンジョンは出てきました。
彼もゲイだから、ジョンカリー自身はカミングアウトした覚えは無くても、世間から偏見の目で見られてしまったビッグネームの同士として、シンパシー以上の繋がりを感じていたのだろうな、と勝手に想像。

エイズのためにアイススケートの団員の大半を亡くしたというのだから、なんという芸術家達の損失だろうと。
ドラックとエイズ。
時代を感じます。


子どもが幼い頃に、一度厚生年金会館でアイススケートの「眠りの森の美女」を観に行ったけれど、
舞台上にスケートリンクを作り、そこで公演をすることは、大変な取り組みだったのだろうな、と改めて感じました。

日本には1984年来日で代々木体育館で興行をしたらしく、壁に並ぶ広告を見た途端機嫌が悪くなったそうな。
確かにイギリスアルバートホールとは見映えが大違い…。

日本のTV番組のインタビュー映像もあり、多分当時のニュースステーションに出ていた小宮悦子さんかな?(懐かしい)そこではそんなに機嫌悪くなさそうでした。

何しろ、記憶に残しておきたいと思った演技がいくつもありました。
最後の方、アイスショーでの「バーン」そして「ムーンスケート」が素晴らしく、心苦しくなるほど胸に迫る熱演です。
魂と全人生を懸けて滑り続けた人でした。

良いもの見せてもらいました。
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