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若おかみは小学生!のバルバワのレビュー・感想・評価

若おかみは小学生!(2018年製作の映画)
4.5
ホスト風のおにいさんがクライマックス嗚咽混じりに観ている横で鑑賞致しました。劇場っていいなぁ…イチゴイチエ( ´∀`)

いやぁ、仕事終わりの疲れた体に染み渡ったぁ…良い1日の締めくくりになりました。

あらすじは主人公のおっこちゃんがある理由から温泉街で祖母の営む旅館《春の屋》に住むことになり、そこで様々な人々や幽霊と交流しながら若おかみとしての成長し、自分の傷ついた心とも向き合っていく…的な感じです。

冒頭から不穏なドライブからのショックシーン…「こりゃあ、ただの子ども向け映画じゃあねぇぜ…」と感じざるを得ませんでした。

また、キャラクター描写の演出が非常に上手くてですね、例えばおっこちゃんが車に乗っている時の人形をギュッと握りしめる仕草や現実と夢想を行き来するようなシーンは彼女の心の傷の大きさがよく分かったり、温泉街の大型ホテルの若おかみのピンフリこと真月ちゃんの部屋が膨大な量の本に囲まれ真ん中にちょこんと机と椅子があるというデザインが彼女の内面を表現している等々素晴らしかったです。

そして《春の屋》に憑いている幽霊(ウリ坊と美陽ちゃん)と魔物(鈴鬼)のトリオが愛しくて…特に幽霊の二人の出来ること出来ないことがちゃんと分けられているのが面白かったです。

あと温泉旅館の働いている方の日常シーンもアニメではあまり観ないので新鮮でした。おっこちゃんが若おかみとしての日常の所作をレクチャーされているシーンは「へー、こんな決まりがあるんだー」と興味深かったです。

因みに高坂希太郎監督が今作の舞台の《春の屋》の着想を得たのはジブリの宮崎駿とピクサーのジョン・ラセターの世界のアニメ界の二大巨頭が日本の旅館に泊まった時の話だそうで個人的にこのエピソードが一番ぶっ飛びました…凄すぎ!

またクライマックスおっこちゃんが若おかみとしてある選択をするのですが、もうプロ意識が高くて高くて頭が下がります。しかもこの選択は《春の屋》の"誰も拒まない"という理念を体現おりました。

"お金を払っていただいている以上は客を選べないし満足させるべき"という仕事映画としても正しく、背筋が伸びました。まあ、だからといって「金払ってるんだから何してもいいんだぁ」と思っている傍若無人なバカな客は『イコライザー』のロバート・マッコールさんにクレジットカードで切り刻まれるべきだとは思いますがね!!

様々な出会い、経験、葛藤を経ておっこちゃん自身の世界が広がったということがオープニングとエンディングで同じ場所にはいる彼女の立っている場所の見晴らしの違いで表現しているように感じ「大きくなったなぁ…!」と謎の親父目線になってしまい目頭が熱くなりました。

まぁ、全20巻の児童書が原作なので後半はやや駆け足感あり不自然なポーズ固まるシーンもありました。また、《春の屋》を訪れたある客のガキが登場から生き物を殺そうとするわ礼儀を知らねえわでムカつき過ぎて舌打ちしそうになっちゃいました。

あと、これは観た方しかわからないと思いますがあのクライマックスの大事な局面でのおっこちゃんの「グローリーさん…!」は語感も相まってギリギリ笑いそうでした。

あとあと、どうでも良いことですが昨今の小学生が書く習字は難しいのですね…恥ずかしながら一つも読めなかったです。ムガクムガク(;´д`)

個人的には1300円で心身ともに癒してもらったので温泉よりもコスパは良く非常に満足でした。ついこの間まで放送していたアニメや原作を拝見拝読したいのう…
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