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ソニック・ザ・ムービーのbackpackerのレビュー・感想・評価

ソニック・ザ・ムービー(2020年製作の映画)
3.0
Dr.エッグマン「そんな間抜けに見えるか?もちろん飲むとも!お前のラテは美味い!!(ブチギレ)」

2010年代後半以降、キャリア的にはかなり沈んていたジム・キャリーが、久しぶりにそのコメディセンスを爆発させてカムバック!
即興・アドリブ満載だったと耳にしておりますが、彼の大げさかつコミカルな演技は、ソニックというゲームコンテンツの実写化に上手くマッチしており、次回作でもその最高の笑いを見せてくれるのか?と期待値が高まりました。
なんて書いてますが、私は幼少期からゲームというコンテンツに殆ど触れず生きてきたため、ゲーム全般に疎く、当然『ソニック』も遊んだことがありません。ジム・キャリー演じるDr.エッグマンも、そのビジュアルを見たことがある程度。
そのため、ゲームの実写化としての評価は、そもそものゲームを知らないため、残念ながらできかねます。
なので、個人的に気になった"速度描写"について、少しばかり記載したいと思います。

【速く動けば、時が止まる……「スタープラチナ」をくらえ!】
ソニックは、超音速で走る青いハリネズミ(宇宙人)です。その超スピードの威力たるや猛烈で、本気で走ると電磁パルスを発生させるほど。
そんなソニックですが、彼の超スピードの表現として、「あまりの速さに世界が止まったようになる」という描写が登場します。
この手の描写は、昔からよくある十八番表現の一つ。『ジョジョの奇妙な冒険』三部主人公空条承太郎のスタンド"スタープラチナ"も、宿敵DIO様とのラストバトルにて時止めを発動させていますが、これも「超スピードが時を超えることで世界の動きが止まり時間が止まる」という効果を表現したもの。

そんな速度描写ですが、ソニックは別に"時止め"ができるわけではなく、単に速い。
ということは、実際は時間はゆっくりと流れているだけで、停止した世界の中にいるわけではありません。映画『フローズンタイム』のような時が止まった世界(不眠症の果てに時が凍りつく)ではなく、『ジャスティス・リーグ』のフラッシュや『X-MEN フューチャー&パスト』でクイックシルバーが見せた"自分の動きが速すぎて周りがゆっくり動いているようになる"という描写が、この場合の正解だと思えます。

しかし、ソニックは、ほぼ完全に"時止め"してしまっています。ちょっと過剰な表現ですよね。
その上、Dr.エッグマンがソニックの能力を戦闘機に付与し、自身もソニックと同じ速度の世界に見を置く状態になるのは、かなり違和感を覚えます。ソニックの能力を付与している空間に存在すれば、時間の束縛から開放されると忖度したとしても、攻撃による爆発等が、通常の時間の流れに沿って街やら砂漠やらで炸裂している様子には、どうしようもなく奇妙です。
ソニックに向け放たれた攻撃は、ソニックと同じ速度感だが、ソニックが回避した結果発生する着弾後の爆発の威力は、ソニックと同じ速度感ではない……頭がこんがらがります。
これら破壊シーンがサラッと流されてしまう点からは、「あえてその辺りに触れないようしれっと展開したようにしか見えない」ですし、"超スピード"を感じさせない描写には、正直力量不足すら感じてしまうところ。

せっかくのソニックの持ち味である超スピードがもたらす効果なわけですから、もう少し納得感・説得力がほしかったなぁと思いますが、まあ、これはこれでよし。
内容的にはよくある娯楽映画であり、いかにも取ってつけたようなテーマもグッド。
娯楽映画、ゲーム映画がお好きな方は、鑑賞しても損はないかと思いますので、候補作の一本にどうぞ!
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