るるびっち

七つの会議のるるびっちのレビュー・感想・評価

七つの会議(2018年製作の映画)
3.6
『ミナミの帝王』のような漫画演技・漫画演出で爆笑した。
いや手塚治虫が発展させた漫画のアンチ形態である劇画タッチ、と呼ぶべきかもしれない。
イギリスの俳優に、シェイクスピア俳優というのがいて尊敬されている。
日本の場合は歌舞伎役者も狂言師もミュージカル俳優も、結局は全て劇画俳優だと、これを観るとよく判る。
香川照之などは顔面VFX という感じで、血管を自在に浮き上がらせることができるのだろう。高血圧で死んじゃうんじゃないかと心配になる。
野村萬斎も狂言の発声方を劇画化して、もはやギャグである。現代の狂言だ笑。

日本の隠蔽体質は、会社員が昔でいう藩に従属する侍だからサムライ・スピリットだと語られる。
むしろ百姓・スピリットなのではないか?
侍は下剋上するし、幕末には倒幕もした。
そんな気概が、社畜リーマンにあるとは思えない。
人口比で考えても、侍は僅かで当時の日本人の大部分は百姓だ。
労働者人口で考えるなら、現在大多数を占めるサラリーマンは侍というより百姓に類するだろう。
幕府が百姓を「生かさぬよう殺さぬよう」締め付けて年貢を取り立てたように、政府や企業に「生かさぬよう殺さぬよう」搾り取られるのである。社畜というのは新しい百姓の呼び名だ。決して七人の侍側ではない。

それにしても日本の漫画・劇画文化は、映画も支配してしまった。
本作がヒットしたのは、漫画人口が多い証明だろう。
サラリーマンは皆、ジャンプか『週刊漫画ゴラク』を読んでいて、劇画演技がピッタリくるのだろう。
「ゼニの匂いがしよるでぇぇぇ‼」みたいな。
これからもシェイクスピア俳優・・・じゃなくて、劇画俳優の暑苦しいバトルが画面を飾るだろう。
竹内力も混ぜてあげてよ~元祖じゃないか。
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