河豚川ポンズ

記者たち~衝撃と畏怖の真実~の河豚川ポンズのレビュー・感想・評価

3.4
真実を追い続けることの過酷さの映画。
完全にアベンジャーズロスに陥ってしまったおかげで、家にいるとまるで何も観る気が起きなくなってしまった…
そんな状態で観る映画じゃなかったかなとは思うけど、それでもちょっと自分にはハマらなかったな。

2001年9月11日、ワールドトレードセンターへの旅客機衝突事件を始めとしたアメリカでの大規模同時多発テロ事件が発生。
突然の大事件に国中が大混乱に陥る中、翌年ジョージ・W・ブッシュ大統領は一般教書演説でイラクを大量破壊兵器を保有するテロ支援国家であると名指しで批判する。
さらに、このテロ事件の首謀者であるオサマ・ビンラディンを匿っている国家として、アフガニスタンと共に軍事行動の対象として視野に入れられているという情報も流れていた。
これを聞いていた地方新聞社「ナイト・リッダー」のジャーナリストたちは、アフガニスタンならともかく、イラクがビンラディンを匿うはずがないと疑念を抱く。
そこでワシントン支局長のジョン・ウォルコット(ロブ・ライナー)は、部下のジョナサン・ランデー(ウディ・ハレルソン)とウォーレンス・ストロベル(ジェームズ・マースデン)の2人に取材を指示。
他の大手新聞社がイラク戦争開戦への論調を強めるなか、彼ら2人は過酷な取材を進めていく。


「大統領の陰謀」や「スポットライト 世紀のスクープ」「ペンタゴン・ペーパーズ / 最高機密文書」など、新旧問わずこういうジャーナリズム精神を貫くといった映画は多いし、最近は何だか特に増えてきたような気がする。
まあ増えてきた理由が全く思い当たらないわけじゃないけど…
その流れに乗ってこの映画もそういうジャーナリズムを貫き通すために戦うジャーナリスト2人のストーリー。
題材となった事件は「バイス」と同じ、イラク戦争開戦に至るアメリカ政府内のスキャンダル。
なので「バイス」を観ていれば、事実関係で分からなくなることはなく、いい予習材料になる。
ただ視点は一貫して、ジャーナリストが真実を追求するために孤立無援になっても東奔西走して情報を集めまわるという、なかなかに泥臭くて熱い話。
普段はおっかない役ばっかりやってるウディ・ハレルソンと、なんだか久しぶりにスクリーンで見た気がするジェームズ・マースデンのコンビもすごくよかった。
特に熱血さのあまりブチ切れるウディ・ハレルソンなんて初めて見たし、めっちゃかっこいい。
こういうのを見ると、やっぱりすごい俳優だなと思っちゃう。

それでもなかなか自分には刺さってこなかったのは、とにかく中盤のやっていることが変わり映えしなさすぎるせい。
ひたすら人に会っては断られて、あーでもないこーでもないと議論して、ちょっと私生活パートを挟んで、また初めからそれを繰り返し。
そりゃあ実際の取材はトントン拍子には進まないだろうし、劇的な展開も起きにくいだろうから、リアリティを追及したというのなら実際こうなんだと思う。
でも90分ちょうどしか本編時間がないのに、いくらなんでも中だるみが激しすぎた。
見どころは終盤に偏ってた印象だったので、そこにきてやっとこさ面白くなってきたなって感じ。
ドキュメンタリーなら納得できるけど、一応物語としての体を取るならもう少しスリルやクリフハンガー的な展開やらをプラスして、エンターテイメント色を強めて欲しかったな。