るるびっち

魂のゆくえのるるびっちのレビュー・感想・評価

魂のゆくえ(2017年製作の映画)
3.5
鏡の前でヤバイベストをまとう牧師を見て。
『タクシードライバー』じゃねーか!! と、突っ込んだ。
「雀百まで踊り忘れず」の故事の通り、ポール・シュレイダー踊ってます!!
さすがに牧師だからモヒカンにはしなかったけど。

商業主義が蔓延した世界では、小さな教会の牧師はコンビニの雇われ店長と変わらない。結局、資本を出してくれている本社(メガ・チャーチ)の顔色を伺う。
本当の救済など二の次。
資本主義の神の前には、キリストなど教会のお土産に過ぎない。
聖職者としての位が上がるほどCEOっぽくなるのが面白い。今時の優秀な聖職者は、優秀な経営者ということだろう。

コンビニ店長(お土産屋とあだ名された小さな教会)みたいな牧師が、信者の訴えにより、環境破壊に晒された瀕死の世界に気づく。
その環境破壊をしている大企業と癒着した教会の末端職員なので、悩み苦しむ。
病気になって初めて実人生を考えるように、環境破壊の現実を知らされて初めて世界のことを考え出す。

結論としてはヤバイベストを着るのだが、神のことも信仰のことも良く解らないが、なぜ追い詰められると男は破壊衝動に駆られるのだろうか?
これが女性聖職者ならベストを着ただろうか?

「まちがった世界をぶっ壊す」と、いうのは男の発想だろう。
それがテロリストでも聖職者でも。
瀬戸内寂聴がテロをするだろうか?
テロ内寂聴になるとは思えない(不倫テロリストかも知れないが)。

ここでウトヤ島の犯人の姿とダブる。
77人も殺害した冷酷な悪魔が、この牧師のような善人だったら、かなりヒネリの効いたどんでん返しだ。
しかし身勝手な狂信者ではなく、生真面目に世界の問題を考え抜いた結論がヤバイベストだったら・・・正義はやっかいだ。

ウトヤ島では被害者視点だった為に、顔も見えないテロリストは良心の欠片もない人でなしに感じられた。
しかし追い詰められた行動をしようとする牧師の視点で描かれた本作では共感し、むしろ彼ほど世界の問題を真剣に考えたことのない自らを反省する。
視点の違いで結論は違ってしまう。
何のことはない、踊らされているのは観ている自分の方だ・・・

その後、救済が現れるのだが、その救済とは牧師の計画どおりの事か別の形かはネタバレになるので書かない。
また、その救済が奇蹟なのか否かは観客の判断にゆだねられている。
なにしろ、神が迷える者に声を聴かせることはない。
観客ひとりひとりが、自らの心に訊くしかないのだ・・・


レビューを2つ同時に上げてきたけど、一歩進めてクロスオーバーさせてみました~ww
次は暗号文で書こうかな~?? 誰も読まないだろうな~ww
世界が「ヒマを持て余した神々の遊び」なら、レビューは映画ヒマ人の遊びだから・・・
るるびっち

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