円柱野郎

search/サーチの円柱野郎のネタバレレビュー・内容・結末

search/サーチ(2018年製作の映画)
4.0

このレビューはネタバレを含みます

失踪した娘を探す父親の姿を描いたサスペンス作品。
この物語のすべてはPC画面の中で展開される。

ストーリーとしては失踪事件を通して親子の絆が描かれるオーソドックスなものだけど、“すべてPC画面上の出来事”という演出によってとても新鮮な映画体験をすることができた。
冒頭、モデムの音が鳴ったかと思いきやWindows XPの壁紙が。
「おいおい、いつのPCやねん」とツッコもうかと思ったら、それが娘が小さかった時に買ったPCの初起動の時の画面だと分かる。
その後、母親が亡くなり父子家庭となったという状況説明をPC上のスケジュールや動画記録といったツールを駆使して見せたテンポのいい流れには感心した。

PC画面で物語を描ききるというのは一見無謀な感じもしたが、この作品はそれを上手くやり切っている。
一部ニュース画面をそのまま流すという脇道はあるものの、メインストーリーとなる父親の行動は、PC上のポインタの移動や文字の打ち直しで彼の葛藤や困惑を表現できているのが面白いね。
まあSMSの文字の打ち直しで躊躇を表現する見せ方は前からある演出だけど、一貫して描き切ったこだわりは良いよ。
カットバックやフラッシュバックといった従来の映画技法を画面上のウィンドウで似た効果を発揮させたりもしているけど、そういった色々な工夫が見られるところも面白い。

しかしこの映画、観客側に一定以上のITリテラシーがあることを前提にしている作品だよねw
まず俺の親世代では半分くらいは何をしてるのか分からない気がする(苦笑)
それは劇中でそれらのPC上のツールに対する説明が皆無という部分もあるが、逆に言えばSMSやSNS、動画の生配信といったものが日常を取り巻く当たり前の存在になっているという、今どきの時代を的確に表している作品なんだとも思う。
円柱野郎

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