ゆーあ

DTC 湯けむり純情篇 from HiGH&LOWのゆーあのレビュー・感想・評価

4.0

喧嘩ゼロ!笑い80!感動20!ハイロー120!!!


2018年6月、私は山形県を旅行中に在来線列車の中でLDH LAND IN MIYAZAKI LINE生配信を見ておりました。そこで発表されたDTC スピンオフ映画公開決定のニュース!!『FINAL MISSION』以来のHiGH&LOWシリーズの新たな動きに狂喜乱舞すると同時に、アクションなしの人情コメディという路線に少しの戸惑いも感じていました。
ハイローといえば、群を抜くレベルのアクションと潤沢な資金が成せる美術が最大の特徴。もちろんそれ以外にも素晴らしい点が沢山あるし、だからこそこんなに人生が狂うくらいハマっているのだけど、その二つを前面に押し出さない場合の絵が思い浮かばなかった。しかも…これが一番不安に思っている人が多かったと思うのですが、ハイローのギャグは狙うと滑る傾向にあるので、シリーズが好きすぎるからこそ、あけすけに言えば「サムい人情劇」になることが怖かったのです。

結論:
本当にすみませんでした。
ものすっっっごく面白かった!!!!!

これまでファンの期待を常にスペースシャトルで上回ってきた実績を持つハイローなのだから、いい加減安心して信じろよって感じだよなあほんと…すみません…

喧嘩ゼロ!笑い80!感動20!そしてものすごくハイローだった!

まず冒頭から『FINAL MISSION』のパロディで笑うwwwそれ以外にも小ネタに満ちていて、ドラマ、映画4本、DTCミニドラマ、そしてまさかのザヌ(!)まで踏まえたハイローシリーズ最新時系列の物語になっています。その一方で、とても良かったのが、国家を揺るがす陰謀を暴いた『FINAL MISSION』の後SWORDがどうなったか、あまり詳しく語られていないことです。こはつくが、雨宮兄弟が、コブラたちSWORD頭がどこでどう過ごしているのか―前作があまりにも彼らにとって影響の大きい出来事だったから、ここで彼らの進んだ道がはっきり示されてしまうと、この『DTC』はスピンオフ以上の意味をもってしまう。それをせず、しかし「みんな自分たちの場所で幸せに生きている」ことだけは確信できる匂わせの配分が素晴らしかったです。

SWORD、そして九龍グループとの激闘を経て、日常に戻ってきたDTC。自分たちが命がけで守った平穏な毎日は、それまでのドラマチックな時間と比べると何だかちょっと退屈で…。その鬱屈を晴らすために三人は旅に出ます。その道中、資金が尽きた彼らは温泉旅館で住み込みバイトを始めますが、そこの未亡人女将と経営者が良い仲ながら結婚に踏み切れないのを見た彼らは、プロポーズ大作戦を決行しようと…?!
…という、人情劇としては安心感を得るくらいベッタベタでコッテコテなストーリーなのですが、その行動理由や展開がこれまで築いてきた彼らのキャラクター特性にしっかりはまっているので、間違いなくハイローシリーズの一作として楽しむことができます。作中でも言われる通り、そもそも他人の家庭事情に飛び込みバイトが口を出すなんてありえない。けれど信頼と実績の最恐トラブルメーカーチハルならば納得できる。そこに、山王連合会イチ悩みを打ち明けやすいダンさんと、暴走しがちな二人をとりまとめるテッツがいれば完璧な布陣。また今回はラスカルズからSMG、達磨からベイビーズが参戦しますが、彼らの巻き込み方も「その筋のプロフェッショナル」としてとても自然な流れ。キャラクターありきの展開ではなく、あくまで展開に必要なキャラクターをあてはめていくスタイルであることを強調することで、チームそれぞれの良さ(特長)を明確にアピールしていたのも良かったです。この構成は、まさしくハイローを芯から理解しているノリさん(平沼紀久監督)と役者さんたちだからこそ出来たもの。ギャグも、信頼関係が出来上がっているDTC三人だからこそテンポが良くて、「朝まで生テレビ」パートらへんからはもう、観客もその空気感が気持ちよくなって、みんな声を上げて笑っていました。

また予告で得た印象ほど、愛ちゃんを探すパートが長くなく、人情パートがくどく感じないのも良かったです。名前を呼ばれることは愛されていることだと気づいた愛ちゃんが、最後にダンさんを「一八」と何度も呼ぶのにジーンときました。感謝と親愛の証。ダンさんは(私たちファンを含む)み~~んなに愛されてるよ!

そして今作の見所の一つは、なんと言ってもショーパート!まずオープニングからDTCが、縦笛兄弟が!ドレスアップして歌って踊る~?!!これまでのハイローではありえないハッピーなエンターテインメント演出に「えっ、こーゆー感じ?いや、つまりどーゆー感じ?!」と脳がワクワクパニック!このシーンの種明かしは物語終盤に行われるのですが、全ての意味が分かったうえでもう一度味わうと、見所たっぷりですっごく面白いです。てかあたりまえだけどダンスうまい~~!!役と役者を混同するのは良くないけど、それでもハイローキャラにちょっと踊ってほしいなという気持ちはあるじゃないですか。その夢をとても意味のある形で実現してくれた『DTC』には感謝しかない。あ~今後のハイロースピンオフのオープニング、全部これにしてほしい。あと中盤のショーパート「IIKOTO」は、必死感とヤケクソ感を出すべくバタバタしたダンスなんですが、それでも上半身が全くブレないダンさん、さすがですwww

喧嘩してないときのSWORDの日常ってどんなのだろう?ドラマや映画の端々で垣間見えることはあったけど、その「普段の素顔」こそ私たちがまだ知らないハイローの一面だったんだなというのを、今回ですごく感じて、ハイローの世界観がまたグッと大きく広がりました。それぞれの生活はもちろん、SWORD地区以外の場所って、結構普通に日本なんだなとかwwwハイローユニバースはもっともっと色んな形で展開できる。『DTC 湯けむり純情編 from HiGH&LOW』は、そんな将来への期待を大きく高める傑作でした。
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