きよぼん

ザ・ファブルのきよぼんのレビュー・感想・評価

ザ・ファブル(2019年製作の映画)
4.7
5月には「白い巨塔」で財前を演じていた岡田准一。もうそんな年齢になったのかとビックリ。落ち着いた役が増えてきてますが、ドラマ「SP」で超絶アクションをみせてくれた「アクションスター岡田准一」が好きな自分としては、ちょっと寂しい。と思ってたら、殺し屋を演じるということでいってきました。岡田准一のアクションがスクリーンで観れるなら、そりゃ1800円出しますよ。

オープニンの料亭で、多人数相手に正確な射撃でしとめていくファブル(岡田准一)。もうこの動きでメロメロですよ。まあアクションとしては、大きくはこの最初の部分と救出劇なんですけど、このふたつだけで満足です。救出シーンはほんと「ジャッキー・チェンかよ!」です。

しアクション以外も緊張感にあふれてます。柳楽優弥、福士蒼汰、向井理という役者陣が演じる、頭のネジの外れた「アブナイ人」がみれるのがいい。バイオレンスシーンの是非はあるかもしれませんが、この崖っぷちにいるようなスリルがたまらないですね。まあ、こういう人たちとのお付き合いは映画の中だけにしときたいですが…

殺しの天才ファブルは、天才がゆえに世間一般の感覚を持っていない。彼はボスから殺しを禁じられ、普通の生活をするように命じられてしまいます。ファブルの「感覚のズレ」を笑いに持っていくこと、そして殺し屋という感情移入できなさそうなキャラに愛嬌を感じさせてしまうところは面白いですね。

ファブルのズレに「感覚のズレ」に対して、繰り返し投げかけられる「普通こういうときは…」という言い方。やがて観てる人は、ファブルという特異なキャラを通して、「普通ってなんやねん」って考えることになります。ファブルだけじゃなく、他のアブナイ人たちも同様で、なんでこの人たちは、ネジが外れたんだろうっていうところに思いが巡ります。終盤、ある人がアブナイ人に決断を下すのですが、多くを語らずこのアブナイ人だらけの映画のテーマを感じさせてくれる、いいシーンでした。

岡田准一主演ということで劇場は満杯。期待を裏切らないアクションと笑い。そしてライトユーザーの人にも、口うるさくなくほんのりと感じる程度だけどメッセージも持って帰ってもらう。この湯加減がいいですよね。映画って面白いなと思える良作です。映画が好きな人は点数低めみたいですが、こういう映画がヒットして欲しい。というかするべきとさえ思います。
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