Same

劇場版 ヴァイオレット・エヴァーガーデンのSameのレビュー・感想・評価

3.8
ヴァイオレット・エヴァーガーデンはテレビシリーズ、外伝ともに全て鑑賞済みです。
それとなくテレビシリーズを見ていなくとも分かる作りにはなってますが、シリーズを見てからと今作だけの鑑賞ではクライマックスの感動量が全く違ってきますので、まずはテレビシリーズを鑑賞してからが良いと思います。
完全にテレビシリーズ、外伝の後のお話なので。

毎度ながら、家族の死を扱ったあざといエピソードを投入して全力で泣かせにきます笑
今回ちょっとくどくて、24時間テレビ的な感動の押し売りを感じますね。京アニはあまり暴力的な死を扱わない優しい世界が売りのはずなのですが、人の死を泣き落としの道具に使った感動の押し売りは、アクション映画のライトな暴力や死と同じくらい、実は見世物的なことを自覚してるでしょうか。
そもそもスタートからしてテレビシリーズで1番泣けたと評判の10話のアンの孫がヴァイオレットの足跡を追うところから物語が始まりますからね笑
泣かせる気満々!

もう一点違和感があったのは、テレビシリーズ、外伝ときらめくような唯一無二の色彩と光の表現に満ちたアニメーションが売りだったヴァイオレット・エヴァーガーデンなのですが、今作はそのきらめく色彩と光が失われたように感じました。比較的凡庸なアニメ的表現に留まっていたように思います。
これがもしあの事件で失われた才能があったためだとすれば、本当に悲しいことですね。
あの事件だけはジャンルは違えど、ビジュアルクリエイターの端くれとしてショックでかなり落ち込みましたし、絶対に許すことができません。

今作は完全にヴァイオレット・エヴァーガーデンの物語に決着をつけるストーリー。
以後ネタバレで書きますので気をつけて












やはりテレビシリーズで未消化だった、ギルベルト少佐の行方が物語に絡んできます。
いや、ビックリはしませんよね笑
ポスターでもCMでも壮大にネタバレしてますから。
個人的にはギルベルトには死んでいてほしかった。愛の意味は彼が死んだことで、色々な方面へ向いていき、ヴァイオレットが成長していく物語であって欲しかった。
様々な形で表されてきた愛も、最後に彼への恋愛感情に集約されてハッピーエンドしちゃうところが、一途でなければならない、純潔さを求めるありきたりな恋愛物語になっちゃったなーと思います。
いや、ヴァイオレットが幸せになって良かったんだけどね。

それにしても類稀なる映像作画クオリティとオリジナリティ溢れるストーリーで、心の底から2期目を作ってから(原作者を口説き落としてもう1期分脚本を書いてもらって)でも遅くなかったのになー。
それほどヴァイオレットの物語にピリオドが打たれてしまうのがもったいないです。
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