るるびっち

マンディ 地獄のロード・ウォリアーのるるびっちのレビュー・感想・評価

3.0
悪夢のような映画。
残酷とか観るのを後悔するという意味ではない。
主人公の体験した悪夢を再現したような映画なのだ。
非現実的な暴力にさらされる主人公。
そのことで彼の中の暴力が覚醒する。

闇の深さが炎を明るく輝かせる。
地獄の深遠に落ちた主人公の怒りの炎は爆発して核分裂を起こす。更にドラッグを吸入して暴走する。
画面全体が薄暗くぼやけているのは、彼の意識が五里霧中だったり、ドラッグでトリップしている実情を表現しているのだろうか。
ただ時間の流れも感覚の麻痺を表わしているせいか、随分と遅い。疲れる。
薄暗くぼんやりした映像が続くのでダレる。
なので2.8ポイント位でいいかと思っていたら、見慣れて来ると段々癖になってきたので3.0ポイントに底上げした。
アート的というか表現主義的で話はどうでも良いのだが、それでも先に一番強そうな連中をやっつけるのはマズイだろう。後半に行くにつれ、敵がショボくなってくるのだから。
 
チャールズ・マンソンを思わせる教祖は麻原彰晃もそうだが、コンプレックスの裏返しで、他者を排斥した妄想が肥大しているので随分幼稚だ。
こうした幼稚な教祖は、その幼稚さゆえにカリスマ性を兼ね備えるのかもしれない。彼に付き従う連中も実は妄想の自我肥大した同一種で、しかも自分で考えることを止めた連中だから、支配的な教祖の発言を丸呑みして精神を安定させている。

教祖に狙われた主人公の妻、「マンディ」は黒目が大きくて(映像処理しているのか?)魔女のような不気味な顔。教祖と顔をシンクロさせる映像があるので、実は同質の排他性があるのかもしれない。
彼女は不安を予知するが、平和の中で惰眠をむさぼっていた主人公はそれに気づけなかった。彼が覚醒するのは全てを失ったあとだ。

トリップ映像に観客も麻痺したせいか、血まみれで奮闘するニコラス・ケイジを見て笑ってしまう。不思議というよりケッタイナ映画である。
るるびっち

るるびっち