こうん

マンディ 地獄のロード・ウォリアーのこうんのレビュー・感想・評価

4.1
あの鋳型をどこから入手したのかはサラッと流しておいて、ティアドロップ型レイバンに愛妻Tシャツ姿でバトルアックス製作にいそしむニコケイのあたりから、もう、びんびん。
その前のバスルームのウォッカ浴びつつ咆哮のシーンとか、変態バイカー集団の住処のキッチンで謎の液体(ゲル状)舐めてからのニコケイ覚醒とか、たまらん人にはたまらん描写が続いて、初日のシネマカリテにはそういうのを愉しめる御仁がチラホラいて、逆に笑い(失笑(?))が起きていたことですよ!

まぁとにもかくにも、フルチとかアルジェントとか巨匠の名を挙げておけば当たらずとも遠からじな趣味性を爆発させてそのまま121分貫いていることが素晴らしく微笑ましくもあるし、逆にこんなコテコテの映画がロッテントマトで高評価を得ているのが、なんちゅーか人間とは如何に即し難い生き物であるかを物語っているような気がして、個人的にはファンタジーのようなしかしやけに現実感のあるディテールの融合というかあっけらかんとした乖離がとても好ましく一寸先はインフェルノ的な禍々しさと聖性が同居した世界観が大好きでしたね。
ちょっとシャロン・テート事件も彷彿とさせるし、おかしなカルト集団の所為じゃなくともあっという間に地獄に踏み入れちゃうし堕ちてしまう。
だけど本作の場合は、なにがあろうとも間違いなく存在する愛、または理由となる愛が存在する事をまざまざと見せつけられて、ちょいとウルウルした次第です。
エンドロールのあとのラストカットの慈愛はただ事ではない!

そして、ヨハン・ヨハンソンさんは最期に良い仕事をしてくださいました。
ありがとう。

(という追悼が台無しになるけど、ニコケイによる数々の復讐ゴア描写がサイコーでしたね!)
こうん

こうん